昆虫類 その1

ホタル

ホタル

夜の川に行って見よう

ゲンジボタルが初夏に羽化するため、日本では夏の風物詩になっています。また、「ホタルの住む里」と言うように、自然回復・川の浄化運動のスローガンにもなっています。 
ところが、世界に住む約2000種類のホタルのうち、幼虫時代を水中で過ごすものはわずか10種類です。日本でも40種類のうち、ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタルの3種のみが、幼虫期、水中生活をします。幼虫はカワニナやモノアラガイを捕食しています。その他の大部分のホタルは、幼虫時代を湿潤な森林の林床で送り、種類によってマイマイなど陸生巻貝類や、ミミズ、ヤスデなどの土壌動物を捕食しています。また、アキマドボタルやイリオモテボタルのように秋や冬に羽化する種類も多いのです。


オトシブミ

オトシブミ

山道で「落とし文」を拾おう

オトシブミ科の昆虫の総称です。世界に約1000種類がおり、日本には23種類が分布します。中型から小型の甲虫で、体は頑丈で厚みがあり、ゾウムシに良く似た体型をしています。成虫は春から初夏にかけて見られますが、明るい林縁部に生息し、森林の中や針葉樹林ではめったに見かけません。
メスは初夏に、若葉を巻いて円筒形のゆりかごを作り、内側に一個だけ産卵します。ゆりかごは、枝についたままのものや、地上に落下したものがあります。孵化した幼虫は、ゆりかごの葉を食べて育ち、中で蛹となり羽化します。名前は、江戸時代、手紙を道に落とし、後を歩く恋人に渡したという「落とし文」に由来します。

よく見かける場所

初夏の登山道など


マイマイカブリ

マイマイカブリ

カタツムリを食べる恐ろしい奴

オサムシ科の甲虫で、体長は3から7cm。細長いヒョウタンに、長い触角と脚が生えたような形をしています。日本にしかいませんが、北海道から九州まで全国に分布。地域によって色が違います。
羽化後、前翅が融合してしまうので、飛ぶことは出来ません。主に夜、地上を歩き回り、カタツムリを見つけると大顎で噛みつき、消化液を注入して消化し、解けた軟体部を食べます。この時の姿が、マイマイを被っているようなので、この名がつきました。危険を感じると、強い酸臭のある液体を噴射します。目に入ると大変な痛みと炎症を起こすので、むやみに手で抑えつけたり顔を近づけないことです。

よく見かける場所

夜行性だが、5〜9月、日陰が多い林道でも地面を歩く姿を見かけます。


ミノムシ

ミノムシ

枝からブラブラぶら下がっているよ

ミノガ科のガの幼虫で、日本には20種以上が分布します。しかし、一般にミノムシと言えば、オオミノガの幼虫をさします。日本で最大のミノムシです。
北海道を除く全国に分布。幼虫は夏期、バラ科、カキノキ科、サツキなどの葉を食べ、枯葉や枯枝に粘性の糸を絡め、袋状の巣を作り、枝からぶら下がります。
ガになって、外に出るのはオスだけです。メスはガにならず、蓑内部の蛹の殻の中で一生を送ります。成虫になっても無翅、無脚です。従って交尾も産卵も蓑の中です。1000個にも及ぶ卵が孵化した後、メスは蓑の下の穴から落下し、一生を終えます。近年、外来種のヤドリバエによる寄生で、生息個体が激減しています。

よく見かける場所

秋の登山道など