3人の腕白を連れて高尾山に行く
―高尾山―

中谷さんファミリー

「山登りに行くぞ」と言うと、最初に「あすも行くぅー」と手を上げながら、毎回置いて行かれる末っ子の明日香(3歳)、お兄ちゃんがアルプスばかりに登るようになって、最近は置いて行かれることも多い真中の泰二郎(5歳)、そしていつも山に行っているお兄ちゃん健太郎(9歳)が全員揃っての山歩き。特に末っ子は初めて自分の足で歩くとあって、今回は高尾山1号路の往復にした。

9:00に高尾山口周辺に到着するも、さすが人気の高尾山、駅近くの駐車場は一杯になっており、ずっと先の駐車場に案内された。高尾山口駅前まで歩いてウォーミングアップ。弟妹に付き合わされた感があり、来たこともある高尾山ということでお兄ちゃんはやや不機嫌、緊張しいの次男は緊張感たっぷり(結局、お腹が痛くなり駅のトイレで足止め、子供の緊張とトイレタイミングは難しい)、常にハイテンションなのは妹だけである。案内所で案内図を入手し、「自分も」「自分も」とみんな持ちたがるので、各自に持たせる。
 
登山口でムササビを見つけると下の2人は大はしゃぎ。先ほどの案内図もほったらかし。お兄ちゃんも得意気に解説を始めた。ムササビに別れを告げて、さあ、いよいよ登山開始。リーダーはお兄ちゃんで次男と手をつないでもらい、末の娘がお父さんと手をつないでスタート。健太郎の背中が「なんで俺が手をつながなくちゃいけないんだよぉ~」と言っているように見えるのは気のせいか。最初の急勾配を頑張って登る。まだまだ、最初はやる気があるので掛け声だけでみんな頑張ってくれる。頑張ること1時間、ケーブルカー駅に到着。既に下の2人は「お腹が空いた」の大合唱。1個だけの約束でお母さんの作ってくれたおにぎりを早弁することにした。「こんなところで飯くってたらいつまでたっても着かないよ~」と健太郎が嘆く。しかし、泰二郎と明日香は先のことなどお構いなし、おにぎりをゲットしたので大喜び。

 

   
ムササビ捕まえた   お兄ちゃん、頼もしく見える   オニギリで元気いっぱい
   
まさにひっぱり蛸だ   お兄ちゃんが廻し方を伝授   天狗のポーズで決め!

 

燃料補給を済ませて歩き出すと、ほどなく「六根清浄」を発見した。経験者の健太郎が「いいか、こうだろ」と得意気に回し方を説明、泰二郎、明日香と続いて回す。お兄ちゃんもだんだん楽しくなってきた。終わらないので、まだまだ次があるよ、次を探してみようと言い包めてやっと出発する。続いてタコ杉、ひっぱり蛸が登場。高尾山は子供の興味を引くものがたくさんあって助かる。次へ次へと歩が進む。そして、しばらくすると男坂・女坂にやってきた。折角だからチームに分かれようと健太郎・泰二郎は男坂へ、明日香とお父さんは女坂へ向かうことにした。「絶対自分が先に着くぞ」とやる気の泰二郎に対して、お父さんと離れるのが不安なのか、お兄ちゃんは無線機を握りしめている。それでも別れ、「あーだ」「こーだ」と無線でやり取りしながら、頑張って歩くとほどなく合流する。お兄ちゃんチームの勝ち。下の2人は再会を喜ぶも、照れ隠しか、お兄ちゃんは一人で先に行ってしまう。
 
続いて薬王院が現れた。またしても興味を引くもの盛りだくさんだ。先ずは大きな「六根清浄」を発見し、グルグルと何度も回す。そして、お次は定番の天狗の像。泰二郎と明日香は、以前に健太郎が従姉とここで天狗の真似をしながら撮った写真をアルバムで何度も見ているので、憧れの場所だ。泰二郎に「向きが逆だよ」と言うが、結局、逆方向のまま本人は満足で決めポーズ、憧れの写真を撮ることが出来たのだから向きくらいよしとしよう。
 
そして、遂に頂上に到着した。明日香が最初に自分の足で踏んだピークである。頂上は既に人で一杯、中々、お弁当を食べるスペースを確保できないが、何とかそれらしいスペースにお弁当を広げられた。それにしても、海苔の巻き方が「あーじゃない」「こーじゃない」「どっちが上手いの」「下手の」といちいち大盛り上がりで騒がしい。おにぎり、卵焼き、唐揚げにソーセージ、ブロッコリーと好きなものだらけで、楽しくたいらげた。お腹が満たされると次は遊びだ。彼らはなんでも遊びにしてしまう。頂上の広場を探検、どんぐり集めが始まった。少し安心して手を放せるかなと、迷子にならないようにお兄ちゃんに頼んで、しばらく好きにさせる。

 

   
ついに山頂に到着   お弁当だあ〜   ソーセージが美味しい
   
雨だ。帰ろう〜   お兄ちゃんのオンブ、幸せ〜   足は大丈夫か〜

 

そこへ、ぽつりぽつりと雨が降り出した。これはいかんぞと「急いで降りよう」と言うと、みんな「おー」とやる気満々で盛り上がる。お兄ちゃんチームは制止も聞かずさっさと走って行ってしまった。ところが、オーバーペースに途中で泰二郎が「足が痛くて歩けない」と言い出した。「走らせたお前が悪いんだから責任とりな」と健太郎に言うと、弟の荷物を持って優しく付き添ってやり、泰二郎も少しずつだが進むようになる。下2人の動きが悪いので、後半は伝家の宝刀「頑張って降りたらアイスがあるよ」でなんとかモチベーションを維持し、頑張ってもらう。ベンチまで戻ってきたので、一旦、休憩させようと「3人並んで座って写真を撮ろうよ」と言うと様子がおかしい。泰二郎が並ばない。「どうしたの?」と聞くと「明日香が臭い」と泰二郎。そして、「あす、うんち出たぁー」のカミングアウト、「えー、やっぱり!?」お兄ちゃんたちは驚き、本人は照れ笑い。今回はやらなくて済むかと安心していたお父さんはがっかり、最後の最後にオムツ交換が待っていた。
 
オムツ交換が終わり、気を取り直して歩き出すも、やっぱり「足が痛い」と泰二郎が進まない。いよいよ、しびれを切らしたお兄ちゃんが「じゃあ、おんぶしてやるよ」としゃがんだ。「恥ずかしいから嫌だ」と泰二郎。「じゃあさっさと歩くか」「むりー」の押し問答が続く。そうこうしている内に、いつの間にか関係ない明日香がスタンバイ、「あす、おんぶ―」と妹の方が乗り気になった。お兄ちゃんは「えっ、なんで明日香、明日香はお父さんの係でしょ?」「じゃあ、お父さんが全部、荷物持つよ」というと、「しょうがないなぁ~♪」と交渉が成立した。明日香は1人、荷物は3つ、数は多いが重さは…言わないでおこう、気が付くまで。さて、自分でおんぶを嫌がり、お兄ちゃんが明日香を背負っているので、さすがに泰二郎も歩かないわけにはいかない。明日香をおぶって闊歩するお兄ちゃんを追いかけ始めた。そうこうしているうちに登山口に到着し、親としても一安心だ。
 
おんぶされていた気もするけど、「あす、頑張ったからアイス食べられるの」という都合のいいお言葉に、まあ頑張ったからいいかとアイスを購入。ご褒美がないと次に行く気にならないものね。よく頑張った。お兄ちゃんたちは食べ終わると、周りの子供たちも巻き込んでトンボ探しに盛り上がる。子供はなんでも楽しいんだなぁ~と感心した。
高尾山を制覇した明日香さんは「あすはどんなお山でも登れるのぉー」と保育園でも豪語しているらしい。そのお鼻を折らないように楽しい家族登山を続けて行ければなと思う。兄妹揃っての山登り、結局はそれぞれに楽しかったようである。次はどんな山に登ろうか、楽しみだ。
 
ちなみに、気が付いてみると父親は写真に写っていなかった。3人連れているとさすがに余裕がありませんね。

 

   
無事についた   無事下山してアイスを   トンボ探しを始める

 

行 程

9:10 高尾山口駅 → 9:35 登山口 → 10:35 ケーブルカー駅 → 
10:54 たこ杉 → 11:00 男坂女坂分岐 → 11:15 薬王院 → 
11:45 山頂 12:41 下山開始 → 14:17 下山

高尾山情報