山の上に浮島があるってホント?

こんど尾瀨に行くんだ。

それは楽しみだね。

浮いてる島があるってホント?

風であっち行ったりこっち行ったりしてるよ。

乗ってもいいの? 沈んじゃう?

沈まないのもあるけど、乗っちゃダメだよ。尾瀨には木道が整備されていて、そこから花や湿原のようすを見るようになっているんだ。木道から外に出ることは禁止されてる。

どうして?

貴重な植物を傷めたりするからだ。

尾瀨だけ、浮いてる島があるとこは?

北日本などの高い山には、池塘(ちとう)があるから、そこにはけっこうあるよ。霧ヶ峰の八島湿原とか、北海道の雨竜沼湿原とか。

池塘って?

高層湿原にある池。泥炭(でいたん)が堆積したところに、雨水とか雪が溶けてできた池のことだよ。

泥炭?

山の上など寒いところだと、植物が枯れても微生物で分解されないで、泥炭という黒い土状のものになるんだ。氷河期が終わったころから、泥炭ができはじめたんだけど、1年に1mm以下という非常に遅いスピードでしか堆積していかない。でもそうやって尾瀬ヶ原をはじめとする日本列島の高層湿原が形成されたといわれているんだ。

氷河期っていつ終わったの?

1万年ほど前。だから泥炭の厚さは、厚いものでも10m以下なんだ。泥炭には栄養分がきわめて少なく、池塘も川からの水じゃないため、ほとんど栄養分がないんだ。それに冬は雪に覆われるほど寒い。だからそういう環境で生きる植物には、ふつうには見られない貴重なものが多いんだ。虫を食べるモウセンゴケとか、水分をたくわえるミズゴケとか…。

虫を食べるの? ねえ、食べてるとこって見ることできる?

もちろん。

浮き島

モウセンゴケ