思い出たくさん。くさり場にシカに三角点に……
―乾徳山―

中谷さんファミリー

今回は自宅から車で2時間弱と比較的アプローチが容易でありながら、本格的なくさり場が楽しめる乾徳山(2031m)に挑戦した。当初は乾徳公園(830m)から国師ヶ原を経て山頂へ到るコースを登る予定であったが、天気が夕方にかけて下り坂との天気予報から行程を縮めることにした。太平高原登山口(1330m)は乾徳公園側の登山口よりも500mほど標高が高いため、時間の大幅な短縮が見込まれる。今回はそちらのコースを選択する。

9:00、乾徳公園近くの駐車場に車を置き、タクシーにて大平高原登山口まで向かう。500mの高度差はかなりのものだ。9:40、いよいよ太平高原登山口を出発。登山道は、林道やかつての作業道か軌道のような道と交錯しながら徐々に標高を上げていく。注意深く見ていないと広さでは登山道よりも広い脇道に迷い込みそうである。健太郎もどちらに行ってよいのか度々迷っている。脇道には、よく見ると道迷い防止のために木や石が並べられ、人が入り込まないようになっていることを教えると、注意深く観察するようになって、ピンクテープとそれらを頼りに迷わなくなった。1時間強歩くと、ちょうど11:00頃、開けた場所に出た。一面にススキが広がっており、その中に大きな岩がポツンとあって、標識には月見岩とあった。月見には付き物のススキ野原に、開けて見通しが良いその場所は、まさに月見にうってつけである。もうお腹が空いたのか健太郎はリュックからおにぎりを取り出して、おにぎり片手に月見岩に登っている。同じ時間に登山口を出て、一緒に歩いてきた人たちとすっかり溶け込んで一緒にはしゃいでいた。

 

   
視界が広がりススキの原っぱ   月見岩に登ったぞ   すごかったよ。髭剃岩

 

月見岩で少し休憩した後、再び出発、徐々に険しい場所やちょっとした岩場が目立つようになってくる。11:40髭剃岩に到着。最初は荷物を背負ったままその隙間に入っていった健太郎、半分くらいで帰ってきて「すごかった」というので、「端まで行ってないじゃん」と突っ込むと、今度は荷物を降ろして端まで行ってきた。最近、随分と度胸がついてきたようである。少し前だったら端まで行けなかったのではと思う。その後も苦手な下りの木梯子を後ろ向きになってすんなり降りた。そして、12:05いよいよ頂上直下のくさり場に到着、核心部である。このコースの良いところは、ちゃんと迂回路が用意されているところだ。登れるか心配しながら連れてきたものの、本人はあっさりとくさり場を選択、くさりを頼りに大きな岩場をスイスイと登っていく。周りの登山者も心配して見守る中、そんな心配はどこ吹く風で頼もしい登りっぷりである。12:10、無事に山頂へ到着した。くさり場の後の頂上は達成感がある。親子そろって写真をとってもらった。

 

   
下りのハシゴもスイスイ   くさり場もラクラク登れたよ   山頂到着!

 

残念ながら到着時、さほど展望はなかったが、すっかりお腹が空いたので岩場の隙間に場所を取って早速お昼にした。山頂には子供から大人までたくさんの人が登ってきていた。アプローチが良く、長短、難易、様々なコースが用意されている乾徳山ならではだと思う。40分くらい休憩して、さあ出発だと腰を上げたところで、「富士山だぁ~」の声に山頂が湧きたった。それまで雲に隠れていた富士山が、雲の隙間から顔を出している。健太郎も大はしゃぎである。山頂にいた登山者が皆一斉に立ち上がってシャッターを切る。勿論、最初からの大展望も魅力的だが、突然やって来る神様からのご褒美はたまらない。決して良く見えるというわけではないが、下山前に力をもらった。

 

   
富士山が顔を出した   シカ発見!   これが三角点です

 

下山には下山道を使用した。段差も大きく、ザレて滑りやすい道に健太郎は文句を言いながらも、14:20、高原ヒュッテ(1574m)までの道をコースタイムより若干短い時間で歩ききった。高原ヒュッテのある国師ヶ原には沢山のシカがいた。今まで、登山道でシカに出逢ってもそれは遠くの木々の中であったが、国師ヶ原のシカは人に慣れているのか間近にいるため、健太郎は興奮してデジタルカメラを持つとシカの後ろをついて回って一生懸命シャッターをきっていた。
行き合わせた三角点ハントをしている登山者から道満尾根の三角点について話を聞くと、健太郎がついて行きたがるので、そこからの下山には国師ヶ原から少し歩いた道満尾根を下ることにした。15:25四等三角点「道満」を発見、道連れの三角点ハンターの解説に健太郎も三角点に興味津々である。日も落ちてきたので先を急ぎ、16:20徳和峠の乾徳山登山口に到着。標高差1200mの下りを無事に降りきった。
少しずつ色々な登山を繰り返してステップアップしているせいか、くさり場・岩場への挑戦も難なくクリアーした。息子の成長を感じられる山行となった。充実した乾徳山を後にして、温泉に入ると家路についた。

 

     
駐車場にゴール!   三角形の乾徳山    

行 程

乾徳公園9:00(タクシー) → 大平高原登山口9:40出発 → 髭剃岩11:40 → くさり場12:05 → 12:10山頂13:00ごろ → 14:20 → 四等三角点「道満」15:25 → 乾徳山登山口16:20