個人山行 栂海新道

日程 2006年8月11〜13日
コース 栂池自然園〜雪倉岳〜朝日岳〜栂海山荘〜白鳥山荘〜親不知
8月11日
ムーンライト81号 立川 0:29発
栂池自然園7:30〜天狗原8:43〜白馬大池10:45〜三国境14:30〜雪倉避難小屋16:25(泊) <行動時間 8時間55分>
8月12日
雪倉避難小屋4:20〜雪倉岳5:00〜水平道分岐7:25〜朝日岳9:05〜黒岩山13:35〜サワガニ山15:10〜栂海山荘17:10 (泊) <行動時間 12時間50分>
8月13日
栂海山荘5:100〜菊石山9:25〜白鳥山9:45〜坂田峠12:45〜二本松峠15:45〜栂海新道登山口16:35 <行動時間 11時間25分>
親不知日本海17:00
親不知観光ホテル18:000 タクシー〜糸魚川18:43発 特急はくたか21号〜越後湯沢20:28発 新幹線MAX谷川426号〜東京駅22:00着〜立川23:00着
参加者 山本憲一(単独)

 朝日岳から日本海親不知に下る栂海新道に再挑戦した。
昨年、会山行の下見を兼ねて蓮華岳〜五輪尾根〜朝日岳〜黒岩山まで行ったが、途中で靴の底がパックリ剥がれるアクシデントに見舞われ、リタイアを余儀なくされた。今年は、8月の会山行として実施する予定で組んだが、参加予定者の都合が悪くなり個人山行となった。当初3泊4日の予定であったが、2泊3日に縮め、営業小屋を利用しない行程で混雑をさけた。
まずまずの天候と数々の高山植物に恵まれた気持ちの良い山行となったが、暑さに参った。栂海新道は涼しい時期に行くことを推奨したい。
 栂海新道は尾根を忠実に辿り、小さな頂きも逃さず、巻き道は一切無い。上部は県境尾根であり下部は昔からの交易・交流の道である。登山道はよく刈払いされて、ふかふかとした腐葉土の道でとても歩き易かった。岩のガレたアルプスを歩いてきた足にはとても優しい道である。標高の高い所は栂や潅木に囲まれた道で、下るとともに大きなブナの林へと続く。最後は人の手が入った杉・ヒノキの中の道である。案内板も適当に設置され、サワガニ山岳会の皆さんが長い時間をかけ、手間を惜しまず守っておられる様子が良く分かる道である。サワガニ山岳会に感謝。


後立山連峰の眺望


ハクサンコザクラ

 8月11日(晴れ) 
立川発0時29分発のムーンライト81号で出発。お盆休み前日とあって、列車は7割程度の乗車率。リクライニングシートでゆっくり眠って、5時36分白馬駅到着。
栂池高原行きのバスも乗車率5割ほど。このところお盆時の山は比較的に空いていると感じる。スイスイとロープウエイを乗り継いで栂池自然園へ。ここから乗鞍岳を越えて白馬大池まで天気もよく順調なペースで進む。白馬三山、白馬大雪渓の眺めが良い。大雪渓は例年になく雪が多いようだ。支谷の残雪にひび割れが生じ、今にも雪崩れそうで怖い。本日は雪倉避難小屋泊まりなので、白馬大池の小屋で水4リットル詰込む。20キロを超えただろうザックがぐっと重くなり、ペースが遅くなるが、雪倉のお花畑をゆっくり楽しみながら歩いた。ハクサンコザクラ、タカネマツムシソウが盛りである。チングルマ、コマクサはそろそろ終わろうとしていた。カライトソウが満開で、ハクサンイチゲがこれからの勢いであった。さすがにこのお花畑は花の種類が多く、あちこちに群落があり素晴らしい。予定より少々遅れて小屋到着。先着組は5名。続いて4名到着、全員で10名となる。明日栂海山荘を目指すのは4名。明日の長い行程を考え、7時半にはシュラフに入り、休む。小屋付近は風の通り道なのか入口の扉が風で一晩中ガタガタいっていた。


朝日岳山頂、ここから雷雨となる


黒岩平のお花畑

 8月12日(晴れ、午前中3時間ほど雷雨)
3時半起床。4時20分出発。昨晩のストレッチが効を奏したか、足取りは快調だ。朝日岳山頂はガスが掛かり、展望は無し。雨がポツポツとくる。吹上げのコルに向かう途中で雷を伴った雨が本降りとなる。「ここより日本海へ」と赤書された岩を越える時は雷鳴がジェット機の轟音のように鳴り響き、とても写真を取れる状態ではなかった。昨年も大雨で、2年続いての雨の栂海新道入口であった。
大岩を乗り越し、長栂山の樹林帯に入る。ここでピカッと光ると同時にドドーン、グワーンと大きな音が鳴る。近くで雷が落ちたようだ。樹林帯で少し待機。アヤメ平〜黒岩平の高層湿原地帯はこのルートのハイライトであるが、ジェット機の轟音の様な雷鳴に追いかけられて、とても楽しめる状態ではなかった。ニッコウキスゲ、ハクサンコザクラ、イワウチワ、シロウマアサツキ、タカネマツムシソウの群落があちこちに点在するのを横目で睨みながら駆け抜けていった。
黒岩山は、昨年黒岩平を歩行中に靴底が剥がれ、止む無く唯一のエスケープルートとなる中俣新道を下って行った無念の地点であるが、やっと雨が上がり陽が射してきた。サワガニ山は天候の回復と共に展望が開け、最高の眺めとなった。左奥に剣岳が大きくそびえ、右には富山湾が大きく湾曲して早月尾根、猫又山、毛勝山、と続く連山に食い込んでいるように見える。剣岳と日本海が一対となった見事な眺めに圧倒された。
犬が岳の手前の水場で今晩と明日の水4リットルを確保する。ここから栂海山荘まではまだ二つ山を越えて行かなければならない。きつい上りが続くが、ここが本日の正念場と思い、踏ん張って歩く。
栂海山荘の2階の一般客用スペースは朝日岳からの客20名で満席。1階のサワガニ山岳会専用スペースをお借りする。昨日の雪倉避難小屋からの4名が一列に並んで陣取る。ここはサワガニ山岳会の方が来られた時は席を譲るお約束となっているが、お盆のためか一人も来られなかった。また、新しく大きな管理員室を増設しており、かなり大きな小屋となりつつある。
山荘名物の空中トイレを体験する。使用済みの紙はお持ち帰りのルールだが、下を覗くと白い物があちこちに引っかかっている。ちょっとがっかり。本日は長丁場を暑い中歩いて、水を飲みすぎたせいか食欲が無い。水分の多い食事をとって早めに休む。


右前方に犬が岳、その右下に赤い屋根の栂海山荘


栂海山荘。右に増築された管理員小屋

 8月13日(晴れ)
5時10分出発。小屋脇の下りと書かれた道を行く。しかしこの道はすぐに上りとなり黄蓮山、菊石山、下駒岳と続き白鳥山へ達するアップダウンのキツイ道である。尾根道の樹林は既にブナ林となり、大きなブナが日陰を作ってくれる。白鳥山へ到着。4時間半をかけて約300メートルを下ったことになる。(犬が岳1593m→白鳥山1286m)
白鳥小屋は2階建ての綺麗な小屋である。雪倉、栂海で二晩同部屋の2名パーティーは、本日はここまでと風通しの良い部屋でくつろいでいた。



白鳥山、山頂に小屋が見える。


焼付くような陽射しの中の白鳥山荘。

 太陽がじりじりと焼け付くような陽射しを浴びせている。ここからが長大な尾根の下りとなるが、下るととも暑さがきつくなる。親不知は30度を何度超えているのであろうか。シキ割の水場で貴重な水を汲む。既に935mとなると、林の中でも蒸し暑くなってくる。金時坂の急な下りを行くと坂田峠となる。ここでタクシーを呼べると誰かが言っていた。地元の人はここから栂海山荘まで日帰り山行を行っているようで、すれ違う地元の人の話では、東京、大阪から来た人は縦走をするから格好ですぐ分かると仰っていた。こんな暑い時に重い荷を担いで長い縦走をするなんて妙な人達だと思われているようである。坂田峠を過ぎると昔道となるようで、ブナの自然林から杉・ヒノキの植林帯となる。ここでとうとう熱中症の兆候が現れる。貴重な水を頭からかぶり、ガブ飲みしながらまだまだ続く上り下りの道をゆっくり歩く。二本松峠から急な下りとなり、1時間弱で北陸道に面した親不知観光ホテル前の登山口ゲートに出た。


栂海新道登山口アーチ


親不知の浜

 ホテルの荷物置場にザックを置き、着替えを持って日本海へ。散策中の若いお二人さんに海はどちらからですか問うと、エッと驚き、ちょっと大変ですよと言われる。確かにホテルからはジグザグに下ること10分ちょっと掛かる。やっと念願の0m。日本海である。親子連れが一組楽しそうに海水浴を楽しんでいた。隅のほうでパンツ姿となり、日本海に身体を浸す。火照った身体に海水がとても心地良い。長く暑い道のりに開放された思いで、一気に沖に向かって泳いだ。海水を舐める。塩辛い、まさに日本海だ。満足感に浸りながら、ゆらゆらと空を見て浮かんでいた。(了)


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