山遊会・恒例2005年お花見会

日時 2005年3月30日18時30分〜
会場 市ヶ谷・東郷記念公園
参加者 小山、大西、石岡、喜多、菅原、山本、高橋    以上7名
記録 石岡


随想「昭和も遠くなりにけり」


「櫻」という字にある貝二つと女とは何を意味するのだろう?
メル友によると、古代に女性が体に巻きつけたたくさんの貝の飾り物のように櫻の花は爛漫と咲き乱れるからという。漢字由来にならい愛でるには、かなり今年は遅咲きのようだ!
今年はそれでも日露戦争100周年にあたり時宜を得た呼びかけも、和尚の三度目の企画とか、初見参東郷元帥記念公園とは貫禄十分。

              “和尚来て花筵(むしろ)かな山テント“(読人知らず)

 1905年5月27日日本海海戦では、大国ロシヤを完膚無きまでにやっつけたのだから、当時の神国は奇跡の勝利にさぞ沸いたことだろう。 歴史にタラ、レバは通じないが、若し旗艦「三笠」で体を張った東郷長官がバルチック艦隊にやぶれていたら「元寇」のように、敷島は危ういところだったろう。早大学園祭国史研究会ポスターでは、元帥は「救国の英雄」となっていた。
テニスの妖精ロシヤのシャラポワ嬢をしのぐ混血美人いっぱいの国際化はとっくの昔にはじまっていたのかもしれない。
脱線してしまったが、ところで当夜 31日の「山遊会」櫻狩りは、セブンサムライが参集し、いまだ蕾の公園を独り占めの風だった。待ちきれないかのように女性グループや恋人同士か見上げている。岳人たちはといえば、櫻にお構いなく「櫻花美人図」を肴にグイグイとピッチがあがる。
乃木坂職場の時代を思い出したが、陸の軍神は乃木大将。ランチタイムに人気ある乃木神社は明治大帝に殉じた乃木夫妻の悲壮感があるが、進駐マッカーサーお手植えの櫻が今頃はどうなっているだろうか?  終戦から還暦60歳の櫻、さぞかし樹齢の貫禄だろう。
東郷公園管理の区役所によると、昭和4年頃は上六公園と呼ばれていたが、一段上の公園隣接地が元帥のお屋敷だったとか。昭和9年元帥が88歳で死去してからは、ご遺族から東京市に寄贈され、昭和13年になって、威徳を偲び今の公園名となったと説明を受けた。
公園では、日本古来のユーモアだか、頓知だか民間信仰にも気が付いた。若者の力試し用の146キロ(57貫)の力石が鎮座している。この石には神霊がこもっているようで、持ち上げた若者には神様が乗り移ったとでも信じられたのだろうか。石にもこころがあるのか。
ポツリ、ぽつりと雨だれ集合の度に喝采。飲兵衛集団ともなると花より団子で、ビール、ワイン、ひれ酒、焼酎と次からつぎと杯はすすむ。カリフォルニアのガロワインとコンビーフの組み合わせはいける。博多(酒井商店TEL0832-31-1470)のふぐひれの差し入れ、これまた花冷えの時を忘れさせる。
バーナーで焦がしたひれ熱燗の香ばしさよ。

               “あと口のひれ酒に酔い深めけれ”(郊春)

口中に広がる至福というべきか?こういう楽しい思い出づくりで年をとっていけるのは、そこはもう室町茶人の連歌の世界、「心の連衆」なのだろう。
帰ってTVの音声を小耳に挟みながら随想していると、M&Aで800社の頂点にいるソストバンクの孫さんはあと20〜30年で2500社を目指すとグループの新入社員挨拶で激励している。ホワイトナイトで名を売った部下の北尾CEOを上下関係、年齢ではなく「同士的結合」と述べていたのが印象的だった。どうも山遊会の人品骨柄は、この信頼の同士的結合と謙虚なバランス感覚で成り立っているようだが、誰かがサミュエル・ウルマンの「青春」を出してきた。>
10年後には、四人に一人が65歳以上の高齢化社会となる日本。
その昔、若さを計るリトマス紙のように詠われた名詩の記憶があるが、最近出たオリジナル英語の新訳では、「歳を重ねただけで人は老いない 夢を失った時はじめて老いるというのが正確だそうだ。
 やがて、まだ寒風の箱根路をベターハーフと闊歩していた前代表より入電。奥方とどこかで悲しき別れ、申し訳ない気持。箱根の甘いもの持参で駆けつけてくれた。その昔よく商売したフィリピン友人が、何か気にすることがあっても敢えてお付き合いもたててくれる御仁のことをタガログ語で「パキキサマ」というと教えてくれた。えらい御人が紙上で友について曰く:
「人は友人なしでは生きられない動物だ。一緒にいるだけで楽しい友人もあれば、議論するのが楽しい友人もある。孤独を恐れる人間にとって、村八分や無視という苛めに耐えられないのも当然だ」
 こうして当夜は全員そろい、時を共謀し得を分かち会えるのだった。
 今年の櫻は遅れ気味だが、“そよそよ”“ゆらゆら”“ふわふわ”と旬の時と散り際の美の本領発揮はさぞかしの風情だろう。待たれる。
 ある日街中で若者のジャンパーの背中英語を覚えた。すこし肌寒い東郷公園でも本当の意味を噛み砕けそうな気がした。どんな翻訳がよいかいつまでも頭を離れない。

Why not create a culture of time? なぜ時の風が吹く文化を創らないの?
There is a lack of gentle time. 今の世は、心ゆかしい時がすくないよ。
Time energy.       時の流れはエネルギーなんだ

内閣府が、日本21世紀ビジョンで「お金持ち」ならぬ時間とゆとりを持って暮らす「時持ち」社会の到来を予測しているが、変な造語や! 櫻の時の恵みの中にある今のいのちを尊ぶだけでよかった。おわり

Page Top



この改行は必要→