しんざん

深山(287m)は、宮城県の南側、角田市と山元町の境にある阿武隈山地北部に位置する展望のよい里山で、身近な自然と歴史的環境が一体となったところです。
深山自然観察路として整備されたハイキングコースは、多彩で標識も多く、要所には東屋、テーブル、ベンチなどの休憩設備があるため、子どもも安心して登山を楽しめます。
太平洋からの温暖な空気と蔵王連峰からの冷涼な空気が交わる深山では、多くの山野草に出会えます。

   
滝ノ沢出合に咲くキクザキイチゲ。
新緑前、カタクリやキクザキイチゲの群生などを目に、静かな山歩きを楽しめます。
初夏にはニッコウキスゲ、晩夏にはキツネノカミソリやコハギボウシの群生が、セミ時雨のにぎやかな中で出迎えてくれます
  登山道にいたノコギリクワガタ♀。
アゲハチョウやオニヤンマに出会うことは多いのですが、たくさん鳴いているセミの姿はなかなか目にできませんね。運がよければカブトムシやクワガタを見つけられるかも。
やみくもに歩かずに、観察しながらじっくり歩きましょう
  滝ノ沢出合で沢遊び。
水生生物がよく潜んでいる枯葉や石の下を探ってみます。
こうした沢には、水生昆虫だけではなく、サンショウウオやサワガニが棲んでいます。
夏場は冷たい水が気持ちいいです。(ただし、アブや蚊にはご注意を!)
   
わんぱく広場のアスレチック遊具。
簡単じゃないけど、いざチャレンジ。
東屋もあるので、親も安心快適
  なかなか体験できない竹馬に挑戦!。
竹馬は交流センターで借りられます。他にバスケットボールも無料貸出。スリーオンスリーも楽しめます
  森の中には自転車コース(有料)も!。(マウンテンバイク用とBMX用)
レンタルバイクで気軽に楽しめます。(レンタル+コース利用料で300円〜)

登山起点となる深山山麓少年の森(菱沼の郷)の交流センター(管理棟)館内には、深山自然観察路案内図や展示物などがあり、イラストマップ入りのパンフレットがあります。飲料の自動販売機があるほか、手作り品の無人販売、レンタルバイク(自転車)や自転車用モトクロスコース利用(有料)の受付などもあります。
竹馬やバスケットボールを借り(いずれも無料)、ゴールネットなどがあるイベント広場で遊んだり、わんぱく広場のアスレチック遊具に挑戦したり、ピクニック広場でお弁当を広げたりできるほか、レンタルバイクを借り、フィールドの中で変化に富んだバイクコースを疾走することもでき、山歩き以外も自然を多彩に楽しむことができます。

峰ノ清水の水場は、湧き水ではなく沢の水(流水)を引いた設備のため、飲用には適しません。
国見台は、かつて展望台でしたが、周辺樹木の成長により、現在は展望がありません。
逆コースは、分岐点での進路が分かりにくくなるため、おすすめできません。
東日本大震災からの復興で現地の状況は変化してます。公共交通手段をご利用の際は予め確認願います。
道路事情も変化が激しいため、車を利用する場合もご注意願います。
アクセス 仙台駅東口 → 国道4号線鹿ノ又(長町IC入口)交差点(車約5.1km/12分)
 
国道4号線鹿ノ又交差点 → 高速道路利用 → 深山山麓少年の森(車約35.4km/約35分)
 
国道4号線鹿ノ又交差点 → 一般道利用 → 深山山麓少年の森(車約30.9km/約46分)
 
国道6号線入口(岩沼市役所近く) → 深山山麓少年の森(車約16.7km/約27分)
 
山元IC → 深山山麓少年の森(車約3km/約11分)
 
山下駅(震災前最寄駅) → 深山山麓少年の森(徒歩約3.5km/約45分)
 
山元町役場バス停(駅直通バス最寄停留所) → 深山山麓少年の森(徒歩約1.4km/約18分)
コース 観察路順路(水道山・ちごゆりの丘経由…車道歩行回避ルート)
 
登り:駒がえしコース(2,167m)
交流センター(標識1)─350m → 標識2(三叉路)─356m → 内手(標識4/三叉路)─198m → 涸沢(標識6/三叉路)─482m → 一服坂(標識7)─241m → 駒がえし(標識8/三叉路)─217m(鹿落ち坂) → 鳥越峠(標識10/三叉路)─245m → お太鼓峠(標識11/三叉路)─78m → 深山頂上(標識12)
 
下り:たかうちコース(2,497m)
深山頂上(標識12)─222m → お別れ峠(標識13/三叉路)─674m(ラクダの背) → 中峰の山桜(標識14)─404m → 烏森(標識15/三叉路)─275m → 水道山(標識17/三叉路)─218m → 標識18(三叉路)─272m → 標識25(三叉路)─142m → 標識26(三叉路)─290m → 交流センター(標識1)
親子
コースタイム
登り1時間、下り1時間、合計2時間(休憩含まず)
交通 ●電車利用
1. 最寄駅は、JR常磐線の終点駅の浜吉田駅です。
乗り継ぎするバス次第では、1駅手前(北)の亘理駅で下車となります。
 
2. 最寄バス停は、深山山麓少年の森ですが、同バス停と各駅を直接結ぶバスはありません。
同バス停への運行路線は、山元町町民バス「ぐるりん号」の八手庭・山寺線と高瀬・太陽ニュータウン線のみです。
 
3. 亘理駅にてJR臨時代行バスに乗り継ぐ場合の最寄駅は、山下駅です。
山下駅のバス乗降場所は、山元町役場(バス停)になります。
(JR臨時代行バスには、山下駅までの通しのJR運賃で乗車できます)
 
4. 亘理駅からの町民バス「ぐるりん号」の最寄バス停は、山下駅です。
山下駅のバス乗降場所は、山元町役場(バス停)になります。
(日曜日と祝日は運休)
 
5. 浜吉田駅からの町民バス「ぐるりん号」の最寄バス停は、山元町役場です。
(日曜日と祝日は運休)
 
*上記は、2013年8月時点の情報です。
同時点で、山元町町民バス「ぐるりん号」は、無料です。

●車利用
登山起点の深山山麓少年の森には、50台収容の無料駐車場があります。
普段は問題なく停められますが、イベントがある日は注意が必要。

「深山自然観察路」内の地名の読み方

菱沼の郷:ひしぬまのさと…深山山麓少年の森の施設名
内手:うちで…標識4の地点名
涸沢:かれさわ…標識6の地点名
一服坂:いっぷくさか…標識7の地点名
駒がえし:こまがえし…標識8の地点名
峰の清水:みねのしみず…標識8の地点にある水場
一寸持山:いっすもちやま…標識9と標識11の間にある地点名
亀石:かめいし…標識9と標識17の間にある伝説の地点名
鳥越峠:とりごえとうげ…標識10の地点名
国見台:くにみだい…標識10近くの展望台名
お太鼓峠:おたいことうげ…標識11の地点名
お別れ峠:おわかれとうげ…標識13の地点名
鷹討山:たかぶつさん…標識13近くにある山名(標高310m)
中峰の山桜:なかみねのやまざくら…標識14の地点名
烏森:からすもり…標識15の地点名
水道山:すいどうやま…標識17の地点名
深山:しんざん…山名(頂上は標識12)

深山での歩行速度

不動産情報における徒歩所要時間は、分速80m(時速4.8km)に基づかれています。標準的なこどもの歩行速度は、分速60m(時速3.6km)ほどです。
 深山の登りの所要時間(標準的な目安)は60分で、距離が2,167mですので、平均歩行速度は分速約36m(時速約2.2km)となり、頂上との標高差が+257m(登山起点の標高は30m)ありますので、平均で1分間に36mほど進んでは4.3mほど登ることになります。
★ポイント:距離(m)を所要時間(分)でわることで速度(m/分…分速)が求まります。
 よって、普通の道(平坦な道)に対する深山の登りの歩行具合は、大人(不動産基準)の場合、速度が約45%で所要時間が約2.21倍、こどもの場合、速度が約60%で所要時間が約1.66倍となります。
 一方、下りの所要時間(標準的な目安)は60分で、距離が2,497mですので、平均歩行速度は分速約42m(時速約2.5km)となり、平均で1分間に42mほど進んでは4.3mほど下ることになります。
 よって、普通の道に対する深山の下りの歩行具合は、大人の場合、速度が約52%で所要時間が約1.92倍、こどもの場合、速度が約70%で所要時間が約1.44倍となります。
 一見、下りは平坦な道より速く動けそうですが、現実は、平坦な道より遅く、登りよりは速いといった感じです。
 山歩きにおける登りでは、労力(エネルギー)がそのまま標高の上昇(位置エネルギーの獲得)につながります。一方、下りでは、標高を下げる動きをするため、地球の重力が働き、位置エネルギーが運動エネルギーに転化します。
 この運動エネルギーは、緩やかな下り坂での歩行やスキー滑走などでは活かすことができますが、通常の山歩きでは、位置エネルギーから転化した運動エネルギーが過剰に体を走らせようとしますので、安全に歩くために、運動エネルギーを抑止するための労力が必要になります。
 下る傾斜にほぼ比例する形で転化される運動エネルギーが増すことになり、同時に、抑止しなければならない労力も増すことなります。
 ゆえに、山歩きの下りでは、普通の道より労力が必要な上、時間もかかります。なお、下る速度は、道の状況に大きく左右されます。

幻の滝、カッシャ

「カッシャ」とは、野鳥「カシラダカ」の地方名です。
カッシャの滝は、滝の沢の上流にあり、常に見られるのではなく、大雨後の増水で現れる落差約7mの幻の滝です。
カッシャの滝への自然観察路はなく、山に関する知識と経験が十分でなければ、残念ながら実際に目にすることができません。

深山で暮らす野鳥

アオジ(ホオジロ科ホオジロ属)
ウグイス(ウグイス科ウグイス属)
ウソ(アトリ科ウソ属)
エナガ(エナガ科エナガ属)
オナガ(カラス科オナガ属)
オオルリ(ヒタキ科オオルリ属)
カシラダカ(ホオジロ科ホオジロ属)
カッコウ(カッコウ科カッコウ属)
カワラヒワ(アトリ科ヒワ属)
キジ(キジ科キジ属)
キジバト(ハト科キジバト属)
コゲラ(キツツキ科アカゲラ属)
コジュケイ(キジ科コジュケイ属)
サンコウチョウ(カササギヒタキ科サンコウチョウ属)
シジュウカラ(シジュウカラ科シジュウカラ属)
ジョウビタキ(ツグミ科(ヒタキ科)ジョウビタキ属)
センダイムシクイ(メボソムシクイ科メボソムシクイ属)
ツグミ(ツグミ科ツグミ属)
ハヤブサ(ハヤブサ科ハヤブサ属)
ヒヨドリ(ヒヨドリ科ヒヨドリ属)
ベニマシコ(アトリ科ベニマシコ属)
ホオジロ(ホオジロ科ホオジロ属)
マヒワ(アトリ科カワラヒワ属)
ヤマガラ(シジュウカラ科シジュウカラ属)
ヤマドリ(キジ科ヤマドリ属に)
など。

深山でみられる花と花期

アキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)…晩夏〜晩秋
アブクマトラノオ(タデ科イブキトラノオ属)…春
└阿武隈山地の太平洋側に咲く地域限定の花
イチヤクソウ(イチヤクソウ科イチヤクソウ属)…初夏
ウラシマソウ(サトイモ科テンナンショウ属)…春
エンレイソウ(ユリ科エンレイソウ属)…春
オオバジャノヒゲ(ユリ科ジャノヒゲ属)…夏
オケラ(キク科オケラ属)…秋
カタクリ(ユリ科カタクリ属)…初春
カラハナソウ(アサ科カラハナソウ属)…晩夏
キクザキイチゲ(キンポウゲ科イチリンソウ属)…春
キツネノカミソリ(ヒガンバナ科ヒガンバナ属)…晩夏
キンラン(ラン科キンラン属)…春
ギンラン(ラン科キンラン属)…春
ギンリョウソウ(シャクジョウソウ科ギンリョウソウ属)…春〜夏
クルマユリ(ユリ科ユリ属)…夏
ゲンノショウコ(フウロソウ科フウロソウ属)…秋
コハギボウシ(リュウゼツラン亜科ギボウシ属)…夏
サワアザミ(キク科アザミ属)…秋
シュンラン(ラン科シュンラン属)…初春
ショウジョウバカマ(ユリ科ショウジョウバカマ属)…春
ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)(ユリ科(キスゲ科)ワスレグサ属)…初夏
タカトウダイ(トウダイグサ科トウダイグサ属)…夏
タチツボスミレ(スミレ科スミレ属)…春
チゴユリ(ユリ科チゴユリ属)…春
ツリガネニンジン(キキョウ科ツリガネニンジン属)…晩夏〜秋
ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)…夏〜秋
ツルリンドウ(リンドウ科ツルリンドウ属)…晩夏〜秋
トリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)…晩夏〜秋
ナガバノコウヤボウキ(キク科コウヤボウキ属)…晩夏〜初秋
ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)…初春〜初夏
ネコノメソウ(ユキノシタ科ネコノメソウ属)…春
ヒトリシズカ(センリョウ科チャラン属)…春
フデリンドウ(リンドウ科リンドウ属)…春
マルバダケブキ(キク科メタカラコウ属)…春〜夏
タマアジサイ(アジサイ科アジサイ属)…夏
ヤブレガサ(キク科ヤブレガサ属)…夏
ヤマジノホトトギス(ユリ科ホトトギス属)…夏〜秋
ヤマボウシ(ミズキ科ミズキ属)…初夏
ヤマユリ(ユリ科ユリ属)…夏
ユリワサビ(アブラナ科ワサビ属)…春
リンドウ(リンドウ科リンドウ属)…秋
など。

歴史がある菱沼郷と山寺館跡

案内板「菱沼郷と山寺館跡」には以下の説明があります(抜粋)。
〈菱沼郷とは、承平年間(931〜938年)に和多里として、曰理、望田、菱沼、坂本の4つの郷(村)を設けたと古文書(倭名類聚鈔)に記されており、古くから歴史にその名があった所である。
また、封内風土記に「東西15間(27m)・南北20間(36m)菱沼内膳の居館なり」とあり、今の深山神社の西方に地方の豪族、菱沼内膳が住み、この地を領していたと口碑に伝えられている。(略)
その後、永和元年(1375年)に山上院悠山寺が開基になり、この地が山寺と名を変え、今日に至っている。
続いて、天正年間(1573〜1592年)に山寺を領した武将、山寺盛純が居を構えたと言われている所が現在の深山神社境内で、その遺構の一部土塁などが現存していることから山寺館の跡ではないかと推察される。(略)〉(山元町教育委員会)

深山の山頂からは180°のパノラマが開かれています。さて頂上から見ることが可能な場所は?

1. 宮城県北部の気仙沼湾

2. 宮城県隣県の福島県

山頂は東側に大きく開け、常磐線山下駅やその向こうに太平洋を望むことができます。右手には、福島県の相馬近辺を見ることができます。

3. 世界遺産に登録された富士山

かつて深山の山頂には、深山大権現がまつられ(いまは麓の深山神社)、信仰の山として、地元に親しまれてきました。地元の人々は深山を親しげに呼んでいます。さて何と呼んでいるのでしょうか。

1. 深山さん

地元の人々から「しんざんさん」と呼ばれ、信仰の山として親しまれてきました。いまは、自然が豊かで、気軽に登れる山として親しまれています。山麓には「深山自然観察路」があり、太平洋側の暖かい気候と陸側の冷たい気候の境目として多くの植物種を要し、宮城県の緑地環境保全地域に指定されています。

2. 深ちゃん

3. しんすけ

深山情報

山元町(役場)
山元町/深山観察路
宮城県(県庁)/深山緑地環境保全地域

 

お問合わせ

日本山岳会 宮城支部 Tel. 022-393-7832

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