くまのだけ(ざおうさん)
スキー場や温泉で知られる蔵王山は、主峰の熊野岳(1,841m)を中心に、山形県・宮城県の南部にまたがる連峰の総称です。「御釜」と呼ばれるエメラルドグリーンの火口湖や高山植物の女王・コマクサの群生、原生林など、美しい湖沼と豊かな植生が魅力です。登山道はなだらかで歩きやすく、天気が良ければ常に山頂が見えていますので、ファミリー登山におすすめです。帰りに温泉に立ち寄り、疲れを癒すのもよいでしょう。
熊野岳避難小屋辺りに咲くコマクサ | 広葉樹の森が広がる | 樹氷の別名はモンスターだ | ||
お釜以外にも沼が点在する | 秋全山が紅葉する | 火口湖のことで、五色沼とも呼ばれる |
登山道は整備されていますが、小石の多い「ザレ場」もあります。滑らないよう注意しましょう。 | |
蔵王周辺は人気の観光名所なので、休日は混雑・渋滞します。早出、早帰りのプランを立てましょう。 | |
山頂付近は風が強いことがあります。ウィンドブレーカーを準備しておくとよいでしょう。 |
交通・ アクセス |
車は、東北自動車道の村田ICから蔵王ハイライン(有料:往復520円)で県営レストハウス駐車場へ。 電車は、山形駅前から山交バスで「蔵王刈田山頂(お釜)」下車。 |
コース | 県営レストハウス→馬の背→馬の背分岐→熊野十字路分岐→熊野岳山頂→蔵王岳山頂→馬の背→県営レストハウス |
親子 コースタイム |
登りは県営レストハウスから熊野岳山頂まで2時間30分、下りは1時間30分。合計4時間。 |
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中央分水嶺と蔵王連峰
蔵王連峰は北西から南東に連なる峰々ですが、山形と宮城の県境となっている中央分水嶺の峰々は北東から南西に連なり、蔵王連峰とは熊野岳と刈田岳の間の馬の瀬付近で交差しています。中央分水嶺とは、中央分水界とも言われ、日本に降る雨を太平洋側と日本海側に分ける分水界です。北は北海道・宗谷岬から南は九州・佐多岬まで全長約5000kmにおよぶもので、日本山岳会では2005年から約2年の歳月をかけ踏査しています。
神道分離令
刈田嶺神社は、創建時は蔵王権現の修験道寺院 でしたが、明治時代の神道分離令によりに神社となりました。神道分離令とは、それまでの神様と仏様が混在していた慣習を禁止して、神道と仏教、神と仏、神社と寺院とを分けるものです。1868年(明治元年)に行われました。しかしこれをきっかけに、寺院の腐敗に不満を持っていた人々によって、全国各地で廃仏毀釈運動がおこり、寺院や仏具の破壊が行われました。
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蔵王と言っても蔵王山という山はなく、蔵王連峰や不忘山を指しています。ではどうして、蔵王と呼ばれるようになったのでしょう。
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蔵王権現は修験道の神様です。諸説ありますが、7世紀、役小角(もしくは行願)が吉野の蔵王権現を不忘山にまつり、修験道の修行の場としたことに由来しています。全国にある御嶽神社(御岳神社)や金峰神社も、蔵王権現をまつった神社で、明治時代の神仏分離のときに改称されたものです。
蔵王の樹氷林は全国的に有名です。夜にはライトアップされ、幻想的な世界が広がります。さて、この樹氷によく見られる「エビのシッポ」。なぜこう呼ばれているのでしょうか?
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霧や雲あるいは雪の粒が、岩や樹木などに付着し、凍ってエビのシッポのような形になるものを言います。風上側へ向かって成長するため、その地域の風向を知ることができます。樹氷はエビのシッポが成長したものですが、蔵王では、湿った西風がアオモリトドマツの葉などに吹き付けて、大きな樹氷へと成長していきます。限られた場所でしかできない、珍しい光景です。
熊野岳情報 |
蔵王町観光案内所 Tel. 0224(34)2725
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お問合わせ |
日本山岳会 山形支部 |
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