会報6月号より


学習院輔仁会山岳部・山桜会編
『学習院登山史(T)1887-1953 山桜特別号』

 本書は明治20年(何と日清戦争以前)から昭和28年(太平洋戦争末期)に至る66年間にわたる学習院登山の歴史をカバーしている。気の遠くなるような大作であり、この難事業を成し遂げられた関係者各位のご尽力には脱帽あるのみだ。
 会社などで作る「]]年史」などという代物は、重たい以外にとりえのないものが多いのだが、本書に限っていえばまことに面白く、かつ読み応えのあるものとなっている。
 私は、学習院の山岳部には部報というものがなく、山行記録は輔仁会という団体の記録に掲載されているだけであるという事を知らなかった。これも単に不精というものではなく、「山登りの記録などというものは、麗々しく外部にひけらかすべきものではなかろう」という当時の人々の主張によるものと聞いている。確かに一家言と言うべきであろう。本書の編集に当たられた方々にも、これら先輩達への顧慮がうかがえるが、それはそれとして、よくぞ纏められたと深甚な敬意を表したい。
 9〜11nのコアパースンの一覧表を見ただけで、他の大学とは違った人脈の複雑多岐には驚くばかりである。しかも、その広範囲な交際の中で自己(学習院では “インディビジュアル”と称して自己の確立を重要な指導精神としていたようだ)を失うことなく、独特の気風が貫かれていることにも注目したい。
私の中では、板倉さんといえば北大、松方さん・泰安さんは京大、木下(是)さんは東大、という印象が強い。そのため、学習院と直接結び付く人といえば舟橋さんくらいだが、事ほど左様に学習院山岳部OBの方々の交際の広さが認識できる。難をいえば2`という本の重さである。しかし、十分に読み応えがある一冊であり、一読をお勧めしたい。  
(山田二郎)

2006年3月31日
B5版 760ページ 

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