会報3月号より


湯原公浩、中川博樹、泉久恵・編
別冊太陽『日本の探検家たち』

写真や図の多い、いわゆるムック形式の本。「日本人の冒険と探検」を巻頭におき、蝦夷・千島、南洋諸島、シベリアと周辺、チベット、ヒマラヤ、極地、南・北米ほかの、7章のもとに38人の探検家の足跡と業績を概説する。
 そこでだが、私たちはそのうちの何人を知っていようか。まず、表紙を見て驚き、このコウモリ傘をさす村夫子然とした人物が笹森儀助だと教えられたにしろ、彼の名に覚えのある人はほとんどいないに違いない。さらに土方久功、大黒屋光太夫、ジョン万次郎など普通には探検家といえないような人物までが取り上げられていて、再度驚くだろう。
 だが、読むうちになんとなく納得してくるから不思議であり、もう一度、探検とはなにか、冒険とはなにか、を考えるきっかけにもなると思う。ほかに鼎談「われらの時代の探検・冒険」「探検登山の用具史」「探検の変容/探検記ファンの見た探検の過去と現在」がつく。

(横山 厚夫)

 2002年10月 文藝春秋発行 文春新書 262ページ 750円



平位剛・著
『禁断のアフガーニスターン・パミール紀行』

本会会員でワハーン回廊の秘境(パミール)中の秘境であるヴィクトリア湖へ潜入した人がいる。その人、平位剛ドクターが、このほど1999年から2001年にかけて3度、ワハーンの心臓部を踏査した記録が公表され、1冊の本となった。十九世紀前半のジョン・ウッド以来、160年ぶりの記録である。
 当然のことながら、日本人の初めて目にした、この地域の高峰(全て6000m級だが)の貴重な写真、そこで暮らすワヒ人(ワハーン谷の住民)やキルギス人の生活ぶりの詳細なリポートもカラー写真で収録されている。
 さらに平位ドクターがかつてワハーン谷で何度か敢行した登山(広島大医学部山岳会)の記録や、それ以後十数度ワハーンの南側のチトラール領ヒンドゥ・クシュやヒンドゥ・ラジ山脈で行った登山や、ワハーン谷との国境山稜中の多くの峠を越えた珍しい紀行文も併せて読むことができる。
 1968年以来、私も再三越えたダルコット峠やカランバール峠はもちろん、バロギール峠やカン・フン峠へ立った珍しい文章や写真もあり、かの地への憧憬をかりたてられる。私は平位ドクターのワハーン潜入の途上、何度もヤルフーン河源地域で出会ったことを、限りなくなつかしく思いつつ、本書を読んだ。

 (雁部 貞夫)

 2003年12月 ナカニシヤ出版発行 487ページ 3800円(本体) なお、本書の申込
 は直接著者へ(割引あり)。TEL082-246-0387