山梨支部


やまなし「山の日」と第6回山の博覧会

 山岳・森林が県土の78パーセントを占め、富士山・南アルプス・八ヶ岳・奥秩父などの山々に囲まれた山梨県は、平成9年全国に先駆けて「山の日」を宣言した。8月8日をやまなし「山の日」として制定し、本年で14年目を迎えることになった。
 「山に親しむ」、「山に学ぶ」、「山と生きる」の三つをコンセプトに森林などの環境保全活動を通じて、将来にわたって豊かな山や森林の恩恵を享受できる自然との共生社会を目指している。
 毎年7〜8月にかけて県内各地では、山の日に関係した事業‐たとえば、親子登山・キャンプ教室、森づくり体験会、動植物・昆虫などの自然観察会、山と人との交流写真・絵画コンクールなど50前後の啓発・記念・関連事業‐を実施している。
 その記念事業の一つとして山梨支部では「山の博覧会‐山を知ろう 山へ行こう」を開催してきた。日本山岳会創立百周年を機に登山の普及と山岳文化の振興を目的に平成17年から毎年7月上旬、「山梨学院生涯学習センター」の共催と絶大な協力をえて、また平成20年からは山梨県「やまなし山の日実行委員会」とも共催して開催している。
 6回目の今年は7月10日、会場の山梨学院大学のメモリアルホールで「八ヶ岳特集」として、八ヶ岳青年小屋経営者竹内敬一さん「八ヶ岳登山の魅力と危険」、県考古博物館学芸課長保坂康夫さん「縄文の八ヶ岳」、高福寺住職水原康道さん「八ヶ岳の信仰」と題した3つの講演と山梨放送制作の山岳映像「八ヶ岳‐百万年の奇跡に魅せられて」を上映した。参加者は昨年と同様満席にちかい430名。全員に「山の日」制定協議会作成の山の日パンフレットを配布するとともに、本部から出席していただいた成川常務理事は挨拶の中で「山の日制定」について来場者にアピールするとともに、今後の力強い支援と協力をお願いし、盛況のうちに閉会した。
(古屋寿隆)

 
 
 


第6回山の博覧会(2010/7/10)案内

 山梨支部(古屋学而支部長)は、7月10日午前10時から午後4時まで、甲府・山梨学院メモリアルホールで第6回山の博覧会「山を知ろう 山へ行こう」を開きます。
 今年は「八ケ岳」を特集します。3人の講演と映像の構成です。講演は、青年小屋・権現小屋の竹内敬一さん(北杜警察署管内山岳遭難救助隊長)、山梨県立考古博物館の学芸課長・保坂康夫さん、山麓小淵沢の高福寺住職・水原康道さんの順。
 竹内さんは「八ケ岳の魅力と危険」と題し、高山植物や景観の魅力と、自ら出動した遭難救助の体験などから危険と対処法などを話します。保坂さんの演題は「縄文の八ケ岳」。山麓には旧石器から縄文にかけての有名な遺跡が集中しています。黒曜石、土器、住居跡などから八ケ岳との関わりを解説します。水原さんは山梨郷土研究会員。八ケ岳の信仰と山名の由来を探ります。
 最後に地元YBS山梨放送が制作した「八ケ岳〜100万年の奇跡に魅せられて」を上映します。また支部会員の写真や絵の展示、山梨の山の本販売、登山用品店の展示即売もあります。
 入場無料。お茶付き弁当(600円)は予約が必要なので、7月3日までに支部または山梨学院生涯学習センターHPから申し込んでください。過去5回の山の博覧会は、夕立が1回あっただけ。比較的天気に恵まれています。1泊して翌日、八ケ岳に登るのも選択肢です。多くの皆さんの参加をお待ちしています。(深沢健三)



第50回木暮祭(2009.10.17-18)

 山梨支部(古屋学而支部長)は10月17、18の両日、金峰山麓の金山平で第50回木暮祭を開いた。“奥秩父の父”と呼ばれ、奥秩父の魅力を紹介した木暮理太郎日本山岳会第3代会長を顕彰する木暮祭も今年で50年。木暮家の関係者、生地・群馬県太田市の強戸山岳会、首都圏や越後、静岡、東海支部の関係者ら約120人が参加し、木暮翁の業績をしのんだ。
 

 木暮翁の顕彰は昭和25年に始まった。翁が愛した金峰山が見える場所として金山平が選ばれ、7回忌に当たる同年、木暮翁ゆかりの石楠花山岳会や霧の旅会、日本山岳会、山梨の岳人などが、現在の場所より上方の岩にレリーフを取り付け、命日の5月に碑前祭を開いてきた。しかし34年の台風で一帯が荒れたため現在地に再建。35年10月に第1回木暮祭を開催し、地元の木暮碑委員会(日本山岳会山梨支部、山梨県山岳連盟、増富ラジウム峡観光協会で構成)の主催で継続し、現在に至っている。5月の碑前祭を加えると60目回となる。
 

 50回目の今年は、盛大にやろうと計画。全国の支部のほか、太田市などにも呼び掛けた。太田市の関係者を通して木暮家の関係者にも依頼した。情報を知った東京の市村孝史さんからは、第1回の様子を収めた8_映像のDVD、吉野菊子さんからは古い写真が寄せられた。また山梨支部は記念の手ぬぐいと冊子、強戸山岳会も冊子を準備して配布した。DVDは前夜祭で上映。地元の山梨日日新聞、山梨放送が「50年前の映像見つかる」と報道し、関心が高まった。
 

 木暮祭前夜祭の17日は、借り切ったみずがき山リーゼンヒュッテに約60人が集合。古屋支部長、太田市の深澤長平強戸山岳会前会長があいさつ。太田市の浅海祟夫さんが「理太郎の故郷は今(太田市から見える山々)」と題して誕生地から見た木暮翁を、八巻恭介木暮碑委員長が「木暮碑建設のころ」と題して山梨側の顕彰の様子を話した。さらに木暮家の参加者を代表して、生家を守る木暮英雄さんがあいさつ。市村さんが映像の経過を解説し、上映した。また吉野さんの提供写真をパネルにして展示した。この後、夕食を摂りながら懇親会を開き、参加者が交流を深めた。
 18日は、瑞牆山の不思議な岩「カンマンボロン」までのハイキングに30人以上が参加。正午前から地元観光協会が甲州名物“ほうとう”をふるまった。恒例のサービスでカボチャ、地元のキノコ入りに長い列ができて、大釜2つが完食となる人気だった。
 

 午後1時から碑前で木暮祭を行った。木暮碑委員会の八巻委員長、山梨県山岳連盟の秋山泉会長、日本山岳会山梨支部の古屋支部長が主催者としてあいさつ。木暮翁の業績や木暮祭の50年を振り返り、今後も顕彰していくことを誓った。生家を守る木暮英雄さんが親族を代表してお礼のあいさつの後、持参した供物を供えた。山梨岳連の献酒に続き、参加者120人がバラの花を1人1人献花した。さらに強戸山岳会の服部佳郎会長の音頭で献杯し、山梨支部の久保田明宗副支部長のあいさつで閉会した。
 

 当日は秋晴れの青空に金峰山がくっきり、どっしりとした姿を見せ、金山平の紅葉とあいまって絶好の日和となった。50年前、草原の斜面にシラカバが点在し、金峰山が見渡せた顕彰碑は、成長したシラカバとカラマツの斜面に変わって金峰山は望むことができず、時の流れを感じさせた。しかし西洋流の登山思想が全盛の時代に、古くから続く日本的な登山を奥秩父で実践した木暮理太郎の業績は、現在につながっている。若い女性の登山ブームの背景には、山に安らぎを求めた木暮翁や田部重治の登山観が脈打っていると考えられるからだ。“秩父派”の思想は受け継がれているのである。
 山梨支部員一同、この節目の木暮祭にかかわれたことに大きな喜びを感じるとともに、遠路参加いただいた木暮家の関係者、群馬県太田市の強戸山岳会、本部の神崎忠男副会長、越後支部の山崎幸和支部長ら新潟、静岡、東海、首都圏の皆様、資料を提供していただいた方々に感謝申し上げる。
       (深沢健三)





第50回木暮祭のご案内

 2009年10月18日(日)、奥秩父の名付け親であり日本山岳会第三代会長の木暮理太郎翁を顕彰する「第50回木暮祭」が、山梨・瑞牆山麓の金山平において開催されます。
 当日は、顕彰碑の前での記念式典や記念講演会、また増富ラジウム峡観光協会の皆様によるキノコのたっぷり入ったほうとうなどが振る舞われるとともに、山梨県山岳連盟による親子登山教室(信州峠〜横尾山)なども開かれます。
 五里山や本谷川渓流沿いの紅葉を眺め、金山山麓で一日を過ごされてはいかがでしょうか。
◎ 10月17日(土) 前夜祭
    @午後4時から記念講演、A午後5時から懇親会
◎ 10月18日(日)
    @午前8時から記念山行(瑞牆山・カンマンボロン岩峰)
    A正午から金山平キャンプ場にて、キノコほうとう食事会
    B午後1時から記念式典(有井館・金山山荘裏手の碑前に
        て)〜午後2時頃解散

 (なお、宿泊・参加費等詳細については、下記あてお問い合わせください)

☆木暮理太郎

1873(明治6)年―1944(昭和19)年5月7日。群馬県出身。東京帝国大学中退。東京市史編纂に従事。子供のころから山登りを始めその後、小島烏水、田部重治らの影響で主に奥秩父の山を歩き、日本山岳史上秩父時代≠ニ言われる時代を築いた。南・北アルプスにも記録的な足跡を残した。ヒマラヤ研究者としても有名。単に山に登るだけでなく、山岳展望や登山史の研究、地名の考証にも大きな熱意を示し、人文的な「山岳研究」というべき分野を開拓したパイオニアの一人である。『山の憶ひ出』の著書のほか『中央アジアの山と人』など多くの研究論文がある。

【お問い合わせ先】 日本山岳会山梨支部 事務局 古屋寿隆
             Tel.090-4539-3059 Fax.055-276-8004



第5回山の博覧会(2009.7.4)

第5回山の博覧会その1 山梨支部は7月4日、甲府・山梨学院メモリアルホールで、「第5回山の博覧会‐山を知ろう 山へ行こう‐」を開いた。
 今年のテーマは「奥秩父」。本年10月18日に金峰・瑞牆山麓の金山平で、「奥秩父」の名付け親でもある第3代会長の木暮理太郎を顕彰する「木暮祭」が50回目を迎えることもあり、特集を組んだ。
 講師に近藤信行さん(文芸評論家・県立文学館長)、中村照人さん(山梨市長)、日原盛幸さん(大嶽山那賀都神社宮司)をお願いした。第5回山の博覧会その2また、山梨放送制作の映像「神秘の領域 東沢、甲斐駒ケ岳」を上映した。ロビーでは支部会員の作品である山岳・高山植物写真展、ボタニカルアート展も開催した。
 近藤さんは「木暮理太郎、田部重治の奥秩父」、中村さんは「甲武信源流サミットが目指すもの」、日原さんは「国師ヶ岳と大嶽山那賀都神社」と題して講演した。奥秩父と関係深い話題をとりあげた内容であり、講演後の質疑応答も活発だった。
第5回山の博覧会その3 当日の参加者は、県内外から420人にのぼった。
 また今年は、共催の山梨県「やまなし山の日実行委員会」からも挨拶があった。JACでも、いよいよ「山の日プロジェクト」がスタートしたが、山梨県では平成9年から8月8日を、やまなし「山の日」に制定しており、「山の日」を「海の日」と並ぶ国民の休日にしようとPRした。
 山の博覧会は登山の普及と山岳文化の振興を目的に、本部の100周年に合わせて2005年にスタートした。支部設立60周年の第5回山の博覧会その42008年の第4回でいったん終了する予定であったが、評判もよく、また山梨学院生涯学習センターの絶大なご協力のおかげもあり継続することになった。5年間で参加者は2000名を超えた。来年も引き続き、内容をさらに充実させて、多くの参加者に魅力ある「山の博覧会」を開催していきたい。(古屋寿隆)