2003年4月号
平成14年度海外登山基金助成対象登山隊
3隊が8000m峰へ
 今年度の海外登山基金助成は、4隊の登山隊より申請があり、海外登山委員会で各隊の申請内容を審査した結果、下記の3隊に助成を行うことを決めました。
 3月号の会報でお伝えしましたが、計画の詳細などを掲載します。各隊ともに、8000mにおける新たな試みを取り入れ、総力をあげて登山の成功に向けて取り組んでいます。
 すでに明治大学と東京農業大学の隊は活動中で、近々吉報をお伝えできるかもしれません。
 経験豊富な各隊の安全着実な登山活動が実を結び、今後の登山に発展していくことを期待します。
海外登山委員会

■8000m峰全座制覇へ
明治大学アンナプルナT峰登山隊2003

 明大山岳部とOB会(炉辺会)は単独クラブとして8000m峰全14座の登頂を目指して、今年5月に、最後の14座目となるアンナプルナT峰(8091m)の南壁ルートに挑みます。
 登山隊は8000m峰6座に登頂した山本篤隊長をはじめ、全員がジャイアント峰登頂経験者ばかり8名の精鋭で、昨秋日中友好女子合同登山隊でチョー・オユー(8201m)に登頂した大窪三恵隊員も参加しています。
 3月15日に日本を出発、28日にベースキャンプ(4200m)に到着しました。登山計画では高度順応を繰り返した後、4月上旬に登山活動を開始、南壁英国ルートから5月上旬に隊員全員の登頂を予定しています。
 明大山岳部・炉辺会は、1970年に植村直己氏(故人)が世界最高峰のエヴェレスト(8848m)に日本人として初登頂したのを皮切りに、30年余りかけて8000m峰に次々と登頂、昨秋のローツェ峰で13座に登頂してきました。今回のアンナプルナT峰で14全座登頂の快挙を達成することになります。


■エヴェレスト・ローツェ同時連続登頂
東京農業大学エベレスト・ローツェ環境登山隊2003年

 東京農業大学山岳部は部創立80周年を記念して、世界最高峰のエヴェレスト(8848m)と第4位の高峰ローツェの(8516m)2峰を同時に連続で、登攀隊長以下8名の隊員全員の登頂を狙います。また登山活動は山岳環境保護に留意し、自然にやさしい高所登山の指針を示すことにしています。
 登山活動は3月いっぱいは高所順応活動を加えながらベースキャンプを建設。4月中はローツェフェースにルート工作し、5月に4名ずつの隊員がエヴェレストとローツェに同時にアタック。その後メンバーを入れ替えて再度同時アタックで登頂を目指すものです。
 8500mを超える高峰に連続登頂するということは、高所滞在期間が長く、高所衰退など負担の増加や、限られた好天を捉えるなど数々の困難が予想されます。
 また環境活動の面では、登山隊の梱包材料の改良、工夫などによる減量、登山隊のゴミ持ち帰り、し尿の処理、ポーターへのコンロの支給など、自然生態系に与えるインパクトを最小限にとどめるよう、さまざまな工夫と実践を展開することにしています。


■冬期ローツェ南壁初登攀を目指して
(社)日本山岳会東海支部 冬期ローツェ南壁登山隊2003

 日本山岳会東海支部は2001年冬に、支部設立40周年記念事業の一環として、ローツェ(8516m)南壁の冬期初登攀を試みましたが、7600m地点で撤退を余儀なくされました。そして今回、日本山岳会創立100周年記念事業として、再び同ルート初登攀に臨みます。
 9月1日に日本を出発、約ひと月かけてチョー・オユーかシシャパンマで高所順応登山を行います。休養の後、11月中旬にベースキャンプ(5200m)入りし、12月より登山活動を開始。再挑戦となる田辺治隊長以下9人(予定)のメンバーで、18日間で登頂するタクティクスを組み初登攀を目指します。
 ローツェ南壁は、1973年以来延べ16回に及ぶ各隊の挑戦のうち、1990年春のトモ・チェセンと、同年秋の旧ソ連隊にしか登られていないと言われます。超難関ルートの冬期初登攀を成功させるには、前回同様登山期間を可能な限り短くすることだという方針のもとに、予め高所順応を行う、荷上げのシェルパを雇うなどして、18日間で登ることのできる態勢を整えていきます。