◆ ヒラリー卿を偲ぶ記録映画
  『エヴェレスト征服』、 『THE EPIC OF EVEREST』


   日 時 平成20年3月28日(金)午後6時30分〜 
   場 所 日本山岳会104号室 
    @ 特別上映 1924年 [THE EPIC OF EVEREST] 16分
        マロリーとアービン未還のドキュメンタリ
    A ヒラリー卿追悼上映 1953年 [エヴェレスト征服] 78分

 春爛漫の3月28日、本会104号室にて映画会を開催した。この映画会、本年1月11日、88歳で亡くなったエヴェレスト初登頂者エドモンド・ヒラリー卿を偲ぶもの。上映は記録映画『エヴェレスト征服』と、1924年マロリー、アーヴィン未還のフィルム『THE EPIC OF EVEREST』(DVD作品)の2本である。

 まず、悲劇のエヴェレスト遠征となった『THE EPIC OF EVEREST』を上映。この作品は、1924年第3回エヴェレスト遠征の記録映画で、マロリーとアーヴィンの悲劇で幕を閉じた貴重なフィルムである。イーストマン・コダック社によって製作されたモノクロサイレントフィルムだ。スクリーン上の英文字幕を、荒井真二資料映像委員が解説した。当時のヒマラヤ遠征の実態を見るアーカイブ作品である。

 次に『エヴェレスト征服』を上映。この作品は、英国地地理学協会と英国山岳会によって製作され、日本では1954年に一般公開された感動のドキュメンタリー。映画の冒頭は、ロンドン市民がエリザベス女王の戴冠式に沸き返っているシーンから始まる。

 1953年3月、これまでの経験をいかし科学的準備を進めて、英国山岳会のジョン・ハントを隊長とする一行はカトマンズを出発した。400名余りの大キャラバンだ。途中、村の人たちの歓迎を受けながら海抜1万8000フィートのクーンブ氷河に着く。ここから寒気、強風、雪崩、クレバスなど過酷なヒマラヤの自然と闘いながらサウス・コルへ向かう。登攀は困難を極めるが、ついに第8キャンプを設け攻撃を開始する。

 5月26日、まずボーディロンとエヴァンスの2人は第一次アタック隊として南峰頂に立つ。続いて28日、第二次アタック隊のテンジンとヒラリーは最高キャンプ(C9)で一夜を明かす。そして翌29日11時30分、2人は自分の足で地球最高の地点2万9000フィートの頂へ到達したのだ。1953年5月29日、エヴェレストの山頂についに人類の足跡が刻まれ、新たな歴史が生まれた瞬間である。

 山頂に立つ2人のカットは静止画像であるが、エピローグの上空から捉えたエヴェレストと周辺の山域の映像がそれを見事にひきたてている。この映像はインド空軍によって撮影されたもので、当時としては珍しい空撮のシーンである。
 地球上の最高峰に挑む人たちの苦闘、初登頂という栄光を得るまでのプロセスは、半世紀を経た今もなお、見る者に深い感動を与えてくれた。上映時間は1時間20分。

 なお上映会には、1956年第三次マナスル登山隊に参加した松田雄一名誉会員や、1980年チベット側よりエヴェレスト(チョモランマ)に立った日本山岳会隊の宮下秀樹副隊長(現・日本山岳会会長)も出席した。参加者とともに当時のヒマラヤ遠征に思いを馳せた。
                                                  (羽田栄治委員長)