●対象:谷川/一ノ倉沢 凹状岩壁
●期間:5/19 (快晴のち雨)
●メンバー:榎並、和田(千葉大山岳部2年)


 学生の頃、私は岩登りが好きじゃなかった。アルパインの合宿には、いつも気乗りがしないまま行ってたと思う。山岳部2年の9月に3年生の先輩と2人で谷川で合宿をやった。「リードやるか?」と言われたが、自信がなく、凹状・変チ・2ルンゼを全部フォローで登った。アルパインだけでなくフリーも好きになれなかったので、ゲレンデ通いもしない。とすると、うまくならず、それもコンプレックスになってなお足が遠のくという悪循環。
 そんな私でも、「パイオニアワークごっこ」とでも言えばいいんだろうか、上越などのマイナーな山域や、沢登りに関心を持つようになり、そこに山登りのおもしろさ、山岳部を続ける意味を見出した。一面では岩登りが嫌いだったから、そこに居場所を見出すしかなかったと言えるかも知れないが、ともかく自分の好きなジャンルを見つけられたのは幸せだった。あのとき、このジャンルに出会わなければ、山岳部も、山も、辞めてたかもしれない。
 慶應山岳部には、もとから沢登りを活発に行っていたし、個人の志向を反映できる風土があったことも幸いしたのだろう。そして、そもそもは個人の価値観によって多様な楽しみ方が出来る、山登りの奥の深さのおかげである。
 そのあと、山岳部3年になってさすがにリードするようになったが、行きたいのは沢登りの方だったので、さして本数は行ってない。4年のときはなんと1回も行かなかった。なので、4年間でリードをした岩場と言えば、剣チンネの中央チムニー・6峰フェース、滝谷クラック尾根、奥又白4峰松高ルートと、そんな数だし、どれも核心に4級が混ざる程度のグレードしかない。
 社会人になっての2年間も、毎週・上越の沢に通った時期もあったというのに、アルパインは谷川の中央カンテと幽の沢V字右に、各年1本ずつ行ったのみ。が、去年の終わりぐらいからか、フリークライミングや岩登りに対する抵抗が急に和らいできた。
 沢登りをしててアルパインクライミング経験の少なさからある種の限界を感じたことや、JACの青年部が立ち上げりまわりにアルパインをやる人がたくさんいる環境になったことなど、いろんな要因があろう。ただ1番大きいのは、山登りに対する考え方が変わってきたことだと思う。
 それは、なにかと気負いのあった学生時代と違い、社会人になって好きなように登れる環境になり山登りすべてにおいて「ようは自分が楽しめばいいじゃん」と素直に思えるようになってきたである。下手なことで気が引け食わず嫌いを決め込んでいた、へんなこだわりがばからしくなってきたのだ。
 
 今回、当初は木下-榎並パーティーでダイレクトカンテor変チ、朱宮-和田の千葉大パーティーで中央カンテの予定であった。が、ダイレクトカンテは北稜の下降でコップスラブのブロック崩落の危険があるのでボツると、木下さんは変チと南稜フランケダイレクトを継続しようと言い出した。木下さんはやる気まんまんであるが、私はシーズン初めでフランケダイレクトを登る自信がどうも出てこない。ユマールで上がってくればいいとも言われたが、登れる人に引っ張れれるよりかは、自分の力の範囲でコツコツやってきたかったので、行きの車内でメンバーチェンジをし、和田君と凹状に行くことにした。初めてあった違う大学の、現役学生とOBが組むのは、どうかという気もするが、朱宮さんとはここ2週連続でゲレンデに行ってたので、OB同士が人間関係が出来ていればこういうのもありなのではないかと思う。今後は、青年部を核に、大学の垣根を越えOBと現役が組めるようになれば、大学山岳部・青年部の活性化に有効なのではないかと思う。

 

 

 土曜の2時前に指導センター着。出合まではまだ通行止めなのでここから歩かねばならない。継続登攀に気合の入る木下・朱宮パーティーは3時起き、我々はちょっとだらけ4時起きで4:40発。が、寝不足でテールリッジの登りではバテ気味である。
 凹状取付6:45発。和田君リードでつるべで登る。この順番だと、核心の凹角をはじめ3級、4級+、4級+、4級とムズカシイとこが私の番になる。
 下部は浮石が多く、また上部からの落石が集まるのでおっかない。が、今日は岩は乾いててコンディション良好。
 4ピッチ目の核心の4級+凹角は、やや逆層で傾斜もあるが、スタンスは豊富で、オーソドックスなフェースクライミングでなかなかよろしい。
 5ピッチ目で小ハングを越え右に上がると、上部が開けるが、ここからも最終ピッチの4級のチムニーなど飽きさせない。この上は岩が硬いのも良い。
 おととし中央カンテを登ったが、それに比べおもしろいピッチが分散していて、全部フリー、かつ全部で8ピッチと手頃にまとまり、こちらの方がおもしろいように感じた。
 山岳部2年のときは、フォローでもAOしていたが、今回はちゃんとフリーで登れた。4級+までなら、問題なくリード出来ることがわかりちょっと安心、自信にもなった。
 和田君も、ちゃんとつるべで登るのは今回が始めてとのことだが、安心してみてられた。話してて考え方もしっかりしてるし、2年生の始めでこれだけ出来れば、先が楽しみである。
 終了点10:00着で一休み。(10:25)北稜がまずいと聞いていたので、下降を上抜けor凹状or中央稜、どれにしようかと思っていたが、上から見た感じでは、コップスラブには下部に雪渓上に安定したのがあるだけ(しばらくたって溶けると、まずい状態になるかも)で問題ないように思えたので、北稜下降とする。
 北稜の途中からは、さっきまでの暑いくらいの晴れた空から、一変し夕立となる。衝立前沢の踏み跡は雪の下なので、その右の枝尾根の藪を伝い、最後は衝立前沢の雪渓へ懸垂、雷の中、出合へと逃げ帰る。
 指導センターに13:40着。少し遅れて戻ってきた朱宮・木下パーティーと合流後、ユテルメへ移動。YCCの高橋さん、清水とも合流し、一杯飲むが、なにせ寝不足ですぐ撃沈、暗くなった頃ようやく起き上がって、帰途についた。

この日は木下さん宅泊。で、翌日曜日、エイリアンとキャメロット使いそうなとこを計6個、買ってしまった。しめて5万円なり。「アルパインクライマー転向計画」、けっこう本気だったり、する。