●対象:戸隠P5尾根〜P1尾根下降
●期間:2/11〜13
●メンバー:榎並、太田 (同人きりぎりす)


11日 (曇のち雪) 
 前夜、新幹線で長野入りし、駅寝。広いコンコースで寝場所には困らないが、夏シュラフでは寒くて、あまり眠れなかった。
 アルプス・ちくまの乗り継ぎで来た太田と合流し、バスで戸隠村の宝光社へ。ここで予約しておいた戸隠村内のタクシーに乗り換え、品沢高原別荘地に入る。ふつうは長野からタクシーで行くのだろうが、銀行マンのくせに、しきりに金欠を訴える太田のために、この妙策を取り、タクシー代を2500円で済ますことが出来た。
 天気は曇り空で、目指すP5はすぐそこに見える。他の稜に比べP5はアプローチが短いこともあるが、スキー場の音楽はずっと聞こえるし、まさしく「裏山」で山深さはまるでない。そんなとこに、あの、もこもこの岩・雪があるのが、戸隠の怪しさというか魅力というか…なのだ。
 8:40発。わかんをつけ歩き出すと、何とすぐトレースと合わさる。そのままトレースはP5へ延び、ショック大。
 丸山の先のコル(9:35-9:45)で尾根に乗り、すぐ岩の混じる稜を大きく右から回りこむ。尾根に戻るのに、草付混じりの斜面で苦労してる先行パーティーの姿が見えたので、その手前でトラバースし尾根のキレットに上がった。
 ここから左に回り込めると踏んだが、ルンゼ状で悪そうなので、ロープを付け木登りで強引に稜を直上した。念の為、もう1ピッチつないだ所で、先行パーティーに追いつくと、名古屋ACCのパーティーであった。どうりで、同じ趣味なわけだ。
 所々に急な雪壁を交える尾根の、深いラッセルを交代しながら進む。雪がしんしんと振りだし視界が利かない。
そろそろ核心と思われる手前で、平らな小ピークに着く(13:10)。ACCパーティーはまだ進むようなので、もうちょっと進みたい気がしたが、冷静な太田に促され、ここで泊まることとした。


12日 (ガスのち晴) 
 6:20発。一段上がると、ちょうどACCパーティーが出発するところで、核心を後から着いて行くことになってしまう。雪稜はトップで行くのと、トレースを追うのでは全然、おもしろさが違うだけに、うーん残念。
 P7(主稜線のではなく、「P5のP7」)の20m程の岩壁に行く手を阻まれ、左にほんの少し降りたバンドでロープを付ける。
 岩壁左の草付ルンゼを詰め、テラスへ(40m)。
 続くピッチ(20m)は、岩壁左の小ピナクルに頼りなくついた雪壁を登り、右のナイフリッジに乗り移る。トップで行くと、非常におもしろさそうなピッチだ。
 3ピッチ目(45m)はナイフリッジをコルへ降り、易しい雪稜を登り返す。この先の傾斜の緩んだテラスで、ありがたいことにACCパーティーが先を譲ってくれた。
 そのままザイルを延ばし4ピッチ目(20m)は太田リード。一段よいしょと上がり、草付をトラバースする数歩が、ホールドに乏しく、草付に頼りなく指したバイルでバランスをとりながらとなり、悪い。潅木を掴むと一安心、後はもう1ピッチ(20m)藪の中を強引に登ると傾斜が緩み、ザイルを解ける。
 この頃になるとガスが晴れ出す。しばらく気分良く登り、P5(11:40-12:00)へ。稜線の反対側は、北アこそ雲の中だが、後は晴れわたっており、高妻山から妙高、雨飾と展望が良い。朝の天気では、往路を引き返す気でいたが、このぽかぽか陽気にP1までの縦走を決めた。
 P3とP2のキレットが急で、25mの懸垂と登り返しに1ピッチロープを出す。後は、右側の雪庇さえ気をつければ、特に問題なく……、のはずが。P2からの下り、トップを歩いてた私は、前方にちょっとした露岩が見えたのでその基部に寄るようにほんの少し右にそれた。と、ずどんと鈍い音がし、ちょうど自分の足元から雪面が切れた。一瞬の出来事に何が起こったか分かぬままに、1m程下の地面に足が着いた。体の右側はすとんと100mあまりの崖なって切れ落ちている。足の下に、ブッシュの枝先が見えたので、全く危険性を認識していなかったが、それは谷側の崖の最上部に張りついたブッシュのものだったのだ。まさか、好天下で雪庇に落ちることなどないと、思っていたのが誤りであった。時間が立つほど、「後、30cm右にいたらアウトだった」ことの恐ろしさが身にしみ、非常に怖くなった。
 P1に15:40-15:50。P1尾根はトレースがばっちりついているので、好天の内に高度を下げることとする。
途中、急雪壁で懸垂を2回。ここは、雪を崩しながら登ったらかなり厳しそうだ。P1は戸隠入門というイメージがあるが、P5と同じ、もしくはそれより少し難しいのではないか??
 無念の峰へのワンポイントの登り返しでロープを出し、無念の峰の少し下の好幕場に17:00着。もう1パーティー泊まっており、シーバー交信をしてる声が名乗ってる名は、さがみ山友会だった。この会も“同じ趣味な”山岳会である。


13日 (雪のち曇) 
 7:00発。しばらく下り、ルートが右側のルンゼに入るとこから、40m・45mの2ピッチ懸垂。その後も、所々急なところが出てくるが、やがて傾斜が緩み、台地状の地形となる。雪が深いので、登りのトレースの歩幅に合わさざるをえず。これにいい加減疲れたころ、楠川に下りる。
 上楠川で車道に出て、登り返し宝光社のバス停11:20着。

 長野ではまだ時間は早く、駅前の銭湯がやってないというので、バスに乗って健康ランドまで行き、ここで風呂と食事を取った。なお金欠銀行マン太田は、「中央線と違い高崎線は大丈夫」との経験則から、高崎で新幹線を降りていった。お疲れ様。
 先週の一・二中間稜に続き、ずしっとくる山が出来て満足。