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●対象:黒部横断/鹿島槍〜十字峡〜黒部別山北尾根〜八ツ峰1峰3稜〜剣岳 山岳部3年のH9年5月にS字峡(五竜〜S字峡〜ガンドウ尾根〜北方稜線〜剣)、翌10年3月に上の廊下(湯俣尾根〜雲の平〜薬師沢出合〜北の俣岳)と来たら、今度は自然に十字峡だ。GWの9連休を賭けるのに、これほど魅力的な対象はそうない。 29日 (晴) 28日の夜、新宿まで来たが、上浜さんの準備が間に合わないとのことで、上浜さんの寮泊、朝発となる。もとはいえば、29日に私に仕事が入る可能性があり、「28日夜、出発可」と決めれたのが27日夜だったので、しょうがないのだが、半日のロスは痛い。おまけに、始発のあずさは予想外の混雑で、座れずに寝不足。 11:40、大谷原発。トレースの入った赤岩尾根を辿る。 高千穂平15:40、暗くなっても冷池までは進むと息まいてた割には、最後の急雪壁を前に17:40、妥協。 30日 (晴のち曇) 4:50発。そういえば積雪期の鹿島槍の頂は初めてだ。H10年11月に1年生を連れ、爺の南尾根から目指したときは、冷池から布引山の下まで5時間かかるという豪雪に阻まれ敗退した。 冷池5:40、鹿島槍7:55とそんな思い出が嘘のように快調にピークに立つが、北峰に視界を遮られ、正直、ぱっとしない頂だった。目指す、剣もここからだと、遠景に過ぎず、ぐっと来るカッコ良さはまだない。 8:15発。残念ながら、牛首尾根にはトレースが付いていた。ただ牛首山の先を越えると、なかなか雪は深く、トレースがなければラッセルに苦労しただろう。2061mPから、1849mPで十字峡への尾根に乗るまでの、複雑な地形も、先行パーティーの巧妙なRFのお陰で全く問題なし。途中の赤布で、彼らがわらじの仲間パーティーであることを知る。ちっ、また同じようなとこに来てしまったか…。 1849mPまで来る(11:35-11:50)と、対岸の黒部別山がだいぶ近づくが、それでも黒部川はまだ1000m近く下だ。水平軸の距離は近づくが、その分、垂直軸の高低差ではどんどん剣が遠くなる。やっぱ、えらいとこに来てしまったようだ。このあたりで、横断のプレッシャーというものを感じた。 雪が多いので、かえって行程ははかどるのだろう、1476mPの下りで10m懸垂するが、峡見ヶ丘(1280m)に14:10と順調。時間的には、今日中に渡れるか微妙だが、明日は雨で増水が予想されるので先へ進む。 いよいよ尾根は急になり、25mの懸垂をすると、対岸を見下ろす、小さな雪田に着く。かってのうちの大学山岳部の横断の記録では、残置のロープでチロリアンをして渡った記録もあるが、そんなものは見当たらない。場所を選べば渡渉を出来そうそうだが、渡ってから一段上の水平歩道に出るまでの岩交じりの急雪壁が問題だ。 さあてどうしようか…、そこで白羽の矢が立ったのが、100m程下流のスノーブリッジ。川沿いの不安定な急雪壁が嫌そうに見えたが、行ってみるとさして問題なく、あっけないくらいに横断することが出来た。(渓流足袋まで持ってきたのに……) 水平歩道へ登り返し、剣沢の吊り橋へトラバースを試みるが、桟道に不安定にひっついた雪に行く手を阻まれる。そこでもう一段上のガンドウ尾根末端の台地まで上がり、ここで泊まることとした(17:00)。 1日 (雨のち曇) 雨の予報で30分余計に寝るが、ぱらぱらと舞う程度で回復の兆し。5:40発。 いきなりの空中懸垂15mで水平歩道に下り、剣沢の吊り橋を渡り、別山北尾根に取りつく。一部、しんどい藪漕ぎもあるが、ここもおおむね雪の多さに助けられる。 1480mPに10:00。ここから所々、急な雪壁が現れるが、先行のトレースに助けられる。 1700m付近で、雨なのでゆっくり起きたというわらじの宮内パーティーに追いつく。 1750m付近は、稜線は不安定なきのこ雪、下の斜面はすだすたと亀裂が入り、雪の状態が非常に悪い。こりゃ困ったとルートを探る内に、わらじパーティーに再び先に行かれる。トサカ尾根狙いから転進したというだけあって、さすが足並みが揃っており、結局、このパーティーに引っ付いてここを通過することなった。 崩れそうな側面から稜線のきのこ雪に這い上げるのに1ピッチ。 竹ペグ懸垂で1つのきのこから下り、対岸のきのこに飛び移る(コルまで下りるの登り返せないので、「飛び移る」)のに1ピッチ。 トップで行ったら、非常におもしろそうな場面だ。 その後も、カベ尾根とのジャンクションまで急雪壁が続くが、彼らがロープを出しながらつけたトレースを追いかけるだけになってしまった。 ジャンクションに16:10、その先の平坦地を幕場とする(16:40) 2日 (晴のち曇) 5:20発。別山谷のコルまで、わらじパーティーの残した竹ペグで30m懸垂。 最後の10mは巨大な雪ブロックを空中懸垂で下りる形になり、トップで下りるのはおっかなそうだ。コルからは、右側のルンゼ状の急雪壁。この日も、わらじ様さま、である。 別山直下で休んださい、上浜さんがテルモスを滑らせる。別山谷の万年雪渓の下で、出てくることはまずないだろう。買ったばっかで、アイスに行くのに1回使っただけといい、ショック大の模様。 別山に上がる(8:00-8:15)と正面に八つ峰の1峰東面が大きい。剣はそのさらに奥に高い。こう迫力ある剣の姿はそう他の場所からは見れれないだろう。 ハシゴ谷乗越まで回らず、北峰からすぐの小ピークからの枝尾根を辿り、あっという間に剣沢へ(9:50-10:10)。別山までと違って、真砂台地のテントや、スキーヤーのシュプルーなど人臭さがし、気持ちが楽になる。ただ、3稜にはトレースがない!別山では少し欲求不満だったので、こいつはラッキーだ。 すべり台ルンゼ手前の急雪壁でザイルを出す。上浜リードで取りつくが、手で払うだけで表面の5cm余りがさーっと落ちるスカ雪に、かなり時間がかかる。私はろくすぽ、クライミングが出来ないくせいに、こういうのをダマシて登るのは得意だったりするのだが… 少しザイルを解いて登った後、1ピッチ小さなルンゼをトラバースし、次の「すべり台ルンゼ」に入る。下部こそ、わりに雪が締まってるが、上部は先ほどのスカ雪でリードすると、人工雪崩?と言ったら大袈裟だが、しゃーっと雪が落ちて行く。結局、ルンゼ内で計4P(最後の1ピッチは支点が得られずザイルを2本つないだ)ベタ張りすることとなった。 途中から、急に雲行きが怪しくなり、一時、ひょうが強く降る。その後も、風が強く、ときおり雪が激しく舞う始末で、ルンゼの出口(15:30着)を整地し、幕とした。 3日 (曇) 悪天の予報なので、1時間余分に寝るが、曇り空で済んでいるので6:10発。4の沢側をトラバース気味に少し登ってからアンザイレン。この後はずっとスタカットで進んだ。 1ピッチ目、榎並リードで4の沢側の急雪壁。 2ピッチ目、クレパスを強引に越え、稜に戻り、稜上のワンポイントの岩稜〜4の沢側の岩のバンド〜再び雪壁トラバース。 3ピッチ目をつないで、4ピッチ目はそれは見事なナイフリッジをバランスで越える。2ピッチ目、4ピッチ目とおいしいとこを上浜さんに取られてしまった。 急雪壁を1ピッチ登りP4に立つと、核心のP5の登りが望まれる。ブッシュ交じりの岩稜にちょっとだけ雪が乗って、嫌らしそうだ。今度は核心が私にあたるように順番を考え、取りつく。しかし目測を誤り、核心下まで1ピッチで済むはずが2ピッチになってしまい、またもや核心は上浜リードとなってしまった。うーむ残念。 わずかにのった雪に、「崩れませんように」と念じながら乗りこみ、その先は雪は払いスタンスを作りながら、ブッシュを頼りにずり上がる、なかなかのピッチであった。 さらにこの先、ザイルを2本連結し、2ピッチ延ばすと、ようやく傾斜が緩んだ。トレースがないせいでだいぶ時間を食ってしまい、P6プラトーに15:10着、ここまでとする。 飯を食ってると、2月連休に戸隠P5で会ったわらじの林さんのパーティー(別山北尾根のとは別パーティー)が合流してきた。夜は、本日発で3稜〜八つ峰を追かっけるOB会の山田パーティー(山田・水野・樋田)とシーバー交信した。 4日 (雪のち晴) 夜から小雪が舞う。朝には止んだが視界が効かず、しばらく様子を見るが、空が明るくなってきたので8:00発。わらじパーティーもほぼ同時に撤収にかかるが、こちらが先行することが出来た。 急雪壁で1ピッチロープを出し、その上のナイフリッジにもう1ピッチ延ばし、さらに緩やかな雪稜を少しで1峰着(10:00)。ガスで何も見えない。 1峰の下りは2ピッチ。岩稜横の雪の斜面をつないで下るが、けっこう悪い。おまけにガスで、着くまでどこがコルかわからない有様である。これでは、これ以上、進むのは困難と、11:00早々と行動を終えた。 13:00くらいになると天候は回復。ほぼ同時に後続パーティーが何組かやってくる。するとその中に、樋田さんの姿が見えるではないか!我々が丸2日かかったところを、トレースに助けられ半日強で追いついてきてしまったようだ。 合流し、設営したとこでさっそく、宴会。すっかり快晴の空の下、つい数時間前とは打てかわって、雰囲気が華やぐ。やっぱ、この明るさがゴールデンウィークだな。 5日 (快晴) 4:30発。山田パーティーと行動を共にすることとする。ぞろぞろ5人連なるが、ザイルを計4本持ってるので、先行してロープをセットしといたり、意外に柔軟で、そう遅くはならない。 40m、懸垂で長次郎谷側に下り、そのまま2峰はトラバース。まだ雪が堅く、ステップが切れないので、けっこー緊張する。 3峰は竹ぺグで10m懸垂、いちおバックアップで別のロープでビレイした。 4峰は急雪壁を20mのスタカットで下りる。 次々と小気味よくピークを越えてゆく。 5峰は竹ペグ懸垂30mで、残置ハーケンへ、さらに40m懸垂し5・6のコルに8:20。ここは八つ峰唯一、くつろげる場所なのでのんびり休むが、ここで前に1パーティー入られたのがまずかった。このパーティー、コンテで登り出したと思ったら、やおらスタカットしだす。八ツ峰に来るからにはここはロープを出す場所じゃないと思うし、またかといって、ただのスタンディングアックスビレイで支点に気を配ってるわけでもなさそうだ。さらに我々の1つ後ろのパーティーがこれを抜きにかかろうとした際、1名(私は見てないのだが)3mほどスリップしたと言う。幸い、止まったが、三の窓谷まで一気に落ちるとこだったようだ。全く、渋滞ってのは興冷めだ。 6峰の下りは残置ハーケンで15m程、懸垂。 7峰は竹ペグで15m懸垂。コンテパーティーには先に行かせてもらったが、このあたり渋滞のピーク。7峰では1時間以上待った?あげく先行パーティーが7・8峰間の狭いナイフリッジで、やおらウンコし出すし…。もうめちゃくちゃだ。 天気が最高に良いのがせめてもの救い。本峰北壁をダイレクトに滑るスキーヤーや、チンネ左稜線のクライマーを見物し、気を紛らわした。 8峰の急な登りと、その先のナイフリッジで2ピッチロープを出す。この先、トレースは池の谷乗越へとトラバースしてるが、どうせならと八ツ峰の頭まで行くことにする(14:00)。 と、頭のチンネ側に雪洞発見!。水野さんのたっての希望で、これを拡張して皆で泊まることした。皆で泊まれたのは良いが、天井からの雨漏りしまくりは不評であった。なお後日、この雪洞は、新潟大の安藤さんパーティーの作ったことが発覚、まったく世間は狭い!。 6日 (曇) 5:45発。本峰(6:35-6:50)は雲の中で何も見えず、感慨は沸かなかった。直下のガリー、2700m付近の急な岩稜で、丹念に2回、懸垂し早月小屋9:00-9:40。馬場島に12:10下山。 ちょうど下山の写真を取ろうというとこで、源次郎を単独で登ってきた森上さん(慶大山岳部OB・チーム84;←本日5時真砂発というから、さすが強い!)が合流。計6人と、にぎやかな下山となる。 馬場島荘で山菜の盛り合わせをほうばった後、ジャンボタクシーで一気に富山へ、風呂のあとは、絶品の刺身・たら汁と続き、特急で帰途についた。
人はたくさんいるし、5月ってどこか物足りない部分もあるのはある。けど、底抜けの明るさは、やっぱりおいしいんだよね。ごちそうさまでした。 なにせ、うちの会社、毎年GWは9連休だからね!来年は白竜峡かな? |
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