●対象:越後/北ノ又川本流
●期間:9/15〜17
●メンバー:榎並、山田 (慶應大学山岳部OB会)

 ミーハーな渓であるが、やはり北ノ又は一度は遡行してみたい谷である。ムズカシすぎないし、3連休で行くのにはちょうどお手頃。あっさり場所は決まった。
 浦佐駅8:00発のバスに集合の約束。当初は湯沢か高崎まで新幹線で行って駅寝の予定だったが、仕事を抜けれず茂原を出たのが22時で、仕方なく東京駅の八重洲北口の外で駅寝…。


15日 (快晴) 
 白光橋でバスを下りると、暑いくらいの陽気。まだ寝足りぬ頭を引きずりながら、9:30発。
 石抱橋でアクシデント。左岸に渡り林道を奥へ進もうとすると、プレハブ小屋から夫婦とおぼしき2名の人物が表れ、「放流している岩魚(?)の産卵時期なのここから先の北ノ又川は入渓禁止」とのたまう。
 釣りはしないことを告げるが、「歩いてる際に魚を踏んだらどうするんだ」と、なんか発想がおかしい。開発か入山禁止かという両極端しか選択肢がないのだろうか?。つい喧嘩越しになるが、山田さんにたしなめられ、うまく話しをまとめ、先へ進ませてもらった。
 あとで「相手も仕事でやってるんだし、正論を切ってもしょうがない」と言われば、そのとおり。かっとなりすぎたことに後悔し、気分が良くない。
 これで流れが悪くなったのか、白沢林道から左に入る踏み跡を途中で失ってしまう。結局歩いてきた林道を逆走し、白沢と本流の出合から入渓する羽目になった。以前に滝ハナ沢に来たときには、岩魚沢出合までの踏跡がはっきりしていた記憶があるので、このロスは痛い。ただ、白沢出合からの本流は、大河の風格を感じる悠然とした流れで。水も澄んで美しい。
 岩魚沢出合に12:30-12:40。ここからの箱淵は、滝ハナ沢のときの経験から、左の斜面を直上し支尾根を越え、大きく巻いた。
 続く、ゴルジュ帯も、今回は水量が少ないのか楽に通過し、滝ハナ沢出合に13:30-13:40。やがて両岸にスラブが目立つようになり、またゴルジュ状に。特に大きな滝があるわけではないが、さすがに大きな谷だけあり、ちょっとした淵でも足がつかなくなる。快晴とはいえ、水は冷たく、そこまで気合いが入ってないので、泳ぎは遠慮し右から巻く。ただ資料では「右に巻き道あり」となっているものの、踏み跡が判然としないので、すぐ沢床に戻る。
 芝沢出合、大ビラヤス沢出合までは、こんな感じに、小さな巻きを繰り返しながら進んだ。ただ大ビラヤス沢出合先のゴルジュ先の10mの斜バクは水線通しは困難に見え、30m程上まで巻き上がることとなった。
 沢床に戻り、板倉沢出合の右側、一段上に絶好の幕場を見つける(16:30)。上部の雪渓ではまる時のことを考えると、もう少し進んでおきたかったが、まあ仕方なしで、ここで泊まることとする。


16日 (晴のち曇) 
 
5:25発。変わらずゴルジュ帯が続くが、少し奥まできて水量が減ったせいなのか、水につかっても胸くらいまでで正面突破できる。巨岩をショルダーで越えたり、適度に楽しめ、小気味よく進める。
 2条10mの滝を左のガレ沢から巻くとシッカイ沢出合(6:40-6:50)。これを過ぎると、両岸が段々の岩畳となった間に小滝が重なる連バクとなり、美しい。そして沢が右に曲がると、ぱっと視界が開け、はるか上まで段々の畳状スラブ帯が望め、歓声が上がる。が同時に、巨大なスノーブリッジも視界に飛びこんでくる…!右のスラブを巻き気味に進み、いったん沢床に降り、スノーブリッジの最初の部分を潜る。ここは距離もわずかなので、意を決し潜ったが、次のは長く不安定で巻くしかなさそうだ。
 右のスラブを雪渓を見下ろす高さまで登り、スラブ帯のバンドに生えた潅木をアンカーにザイルを付ける。高度感のある草付をトラバースしロープを延ばす。途中に潅木があるが、ロープ2本つないだ50mでは沢床に戻れそうにない。そこで、もう1ピッチロープを延ばし、ブッシュ帯に逃げ込み、藪伝いに高度を下げてから懸垂することとした。
 懸垂の支点にした木には、「昭和4年、子熊2頭を狩る」という内容の切りつけがあり感動。沢登りの核心部といえるきわどい場所を、生活の場にしてたのだから驚きだ。35mの懸垂で沢床に戻った。
 この先の5m滝は手前左から斜上バンド沿いに打たれた残置ハーケンを頼りに登り、さらに10m滝を右から巻くと大ヒカバ沢出合(9:45)。この先、沢は明るく開け穏やかになる。
 シッカイクラ沢出合先の河原で唐突な感じに沢は雪渓に埋まる。水を満タンに汲んで雪渓に乗るが、沢は完全に埋まっておりすたすた歩ける。行く手には、中の岳が一際高くそびえ、まるで北アルプスの大雪渓を歩いている感じ。開放的で気分が良い。三俣状を11:30、一番右のアズキクラ沢に入ると、沢幅は狭まりやや傾斜も出てくるがここもすっかり埋まっている。沢が右曲するところで20m程の滝がのぞいているので、右の草付に移る。滝上の草付台地から沢床に戻るが、続く連バクにまた右からの巻きとなり、今度は20mの懸垂となった。
 が、ここからはまた大雪渓。詰めの中の岳東面の岩場を見上げながら、奥の二俣(13:30)まですたこら進む。傾斜はややきつくなるが、苦労するほどではない。雪の多い今年は非常に状態が良かったようだ。上部の雪渓処理に気をもんでいたので、やや物足りない感じさえした。このあたりの雪渓の状態次第で大きく所要時間が変わるように思える。
 奥の二俣を右に取り、水の涸れた棚をそのまま詰める。「関東周辺の沢」では右の草付に逃げると記述されてるが、特に困難な場所はない。しかも草原状になり、中の岳の頂上のすぐ手前に藪漕ぎなしで着く、素晴らしいロケーション。
 空はガスに覆われ始めており、休みもそこそこに、急かされるように中の岳避難小屋へ転がり込む。小屋は一般登山者で大賑わいだったが、食前のウィスキーですっかり酔っ払ってしまい、飯後、そうそうに寝入った。


17日 (雨)
 5:25発、台風接近の影響か、風が非常に強く、雨が横殴り。泥々の道に悪態つきながら、十字峡9:10下山。

 下部の大河の趣から、ゴルジュを越え詰めあげる内容は、まったく飽きがこない。小細工なしの王道を行く名渓である。遡行後の後味が、実に清々しくすっきりしているのも、それゆえであろう。