●対象:谷川岳/一ノ倉沢一ノ沢ニノ沢中間稜
●期間:2/5〜6
●メンバー:橋本(東京大学WV部OB)、榎並(慶応大学山岳部OB)


修論を出し終え、最後の春休みへ気合の入る橋本氏を誘い、一・二の中間稜へ。

5日 (曇) 

 

 ロープウェー駅までの雪道をチェーンなしでは登れず、引き返し土合駅前に車を置き、仮眠。
 6:40発、指導センターの先で軽装の単独行者に追いつくと、後はうっすら残るトレースがあるのみで、ここからワカンを付ける。雪稜をトレースのない状態で登れることに期待が膨らむ一方で、出合までもトレースがないのは予想外だった。結局、トマの耳までずっとラッセルすることとなる。
 一ノ倉沢出合、9:00-9:15。ちょうど雲が国境稜線のちょい下にあり、雲間に衝立の頭が浮かぶ。夏には見なれてる景色のはずだが、雪の付いたそれは全く次元の違う圧倒的な威圧感で、凄みすら感じる。普通の週末なら「テールリッジに取り付くクライマーを羨望の目で眺めながら、こそこそと端っこの中間稜に取り付く」のだろうが、今日は一の倉に入るのは我々だけ、我々が主役と思うと気分がいい。
 末端から忠実に稜に取りつく。藪が目立ち、例年のこの時期に比べると、明らかに雪が少ないのだろうが、雪が締まってないため、それなりのラッセルの労となる。
 尾根が一端、細くなる所でアイゼンに履き変える。その先の開放的な斜面を登ると、岩稜状となる。左側のルンゼ状から回りこみナイフリッジを強引にノーザイルで行くが、その先で雪の下の草付が嫌らしいので1ピッチロープを出す。これを登ると最初に小ピークに立つ。ちょうどすぐ横は、あれが大氷柱、これが滝沢リッジと指呼できる、素晴らしい眺めだ。
 そのままザイルを延ばしコルに下りる。その先のリッジ通しは岩混じりなので、一端、一の沢左側の雪壁を巻く。稜に戻り、念の為、もう1ピッチ延ばしてロープを解くが、この先も急な雪壁が続く。潅木を頼りの、いつもの“越後な”藪尾根の様相だが、傾斜があるので、それなりの緊張感を強いられる。
 下の草付と露岩が気になり出したので、再びアンザイレン。二の沢側の斜面から稜に戻り、次のピッチは一の沢側の雪壁を絡みながら「だましだまし」もがき上がる。後から思えば、上部の核心と言われる場所より、このピッチの方がしんどかった。左手には一の沢右壁左方ルンゼの側壁の岩峰群がにょきにょきと立ち並ぶが、この岩峰尾根と合わさるのは、まだだいぶ上のようだ。
 もう結構な時間になっており、泊まり場を思案する。資料には「ビバーク地は、わりと散在」とあるが、そんなことはなく、少しあせりを感じる。
 次のピッチで、ワンポイントの岩登りを越した先(17:00着)の、猫の額ほど雪面を念入りに慣らし、なんとか設営。明日は天候が下り坂との予報だが、どれくらいで抜けれるかメドがただないまま、とりあえず就寝。


6日 (曇) 
 6:30発。昨日の様相から一転、さして悪いところなしに、左手の岩峰尾根と合わさる小ピークに着く。ここからザイルを出す。
 急雪壁を下り、コルでピッチを切り、続いて小岩峰を越え、ナイフリッジを行く。途中の潅木でピッチを切ったので計3ピッチとなったが、そのままコルからまとめてロープを延ばしても良かったようだ。資料には「馬乗りになる」とあったが、それほどのことはなく、先が見え時間のプレッシャーがなくなったこともあって、さして悪く感じなかった。
 下が草付でやや悪い雪壁を越え、広大な雪斜面を登ると、東尾根に合流(9:10)。ここにもトレースはなく、ラッキー!!。マチガ沢側の雪庇に気をつけながら、ほぼ水平な雪稜を進むと、第一岩峰の基部となる。
 第一岩峰は、岩の部分は出だしの5mだけで、落ちても下は平らな雪面なのでの直登をしようとしたが、見た目よりかぶっていたのであっさり妥協、二の沢源頭を巻いた。1月頭に、この第一岩峰基部で降り込められて進退極まり、ヘリでピックアップされた知人がいるが、確かにここの巻きと、頂上直下の雪壁は、降雪直後は見るからに雪崩れそうで、とても通れたものではなさそうだ。
 最後は稜線の右手の大雪壁を喘ぎながらラッセルし、実は前からやってみたいと思ってた「雪庇を切り崩して稜線に出る」でフィナーレを向えた。
 肩の小屋でのんびりし(11:55-12:20)、天神平に13:30下山。時間も早いので、谷川温泉の「ユテルメ」から沼田のとんかつ屋「山彦」と定番コースを回って帰途についた。
 先行パーティーがいなかったことに加え、ほとんどのザイルピッチでリードをさせてもらったこともあって、最近の山行の中でも特に充実した印象深い山行であった。