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●対象:明神岳東稜〜前穂〜奥穂
●期間:12/31〜1/2
●メンバー:榎並、太田(同人きりぎりす)
冬休みは当初、学生を連れて行くはずだったが、12/30に仕事が入ってしまい、学生は山田氏らに任せ、私は別行動を取ることとした。そう決めたのが12/20、それからパートナーが見つかるか心配だったが、上智OBの太田をつかまえることが出来た。
私の休みは1/5までだが、彼のは1/3までなので、4日しかとれない。天気が安定している槍穂周辺の尾根の中から、状況に応じ明神アタックや5峰南西稜下降などの代替案が取れるということで、この対象を選んだ。
12/31 (快晴)
急行アルプスで松本へ。48時間フル行動でパチンコをやるという、とんでもソロクライマーとタクシーを相乗りし、1人4000円で中の湯着、6:30発。
天気は快晴、大正池からの雪化粧の穂高のパノラマが美しく、気が引きしまる。いつもは前穂や奥穂に目が入ってしまうので、見過ごしている明神岳の存在を地図で確認する。なんか、今まで明神岳にかわいそうなことをしてた気がした。
明神の養鱒場に9:10-9:20、ここからばっちり残るトレースを辿り、下宮川谷を詰める。地図では早めに、右の枝沢に入るはずだが、トレースは本流の左側を、ぐんぐん登る。おかしいと思いながらも、ラッセルすると深いので、「まあなんろかなるでしょ」とそのまま登ってしまう。やがて上部が開け、明らかに間違えがわかる場所に着き、上へ延びるトレースは消えてしまった。強引にデブリで埋まる下宮川谷を対岸に渡ると、同じように上下に谷を渡ったトレースがある。どうやら、皆、最初のパーティーに惑わされ、同じことをしてるらしい。このハプニングで時間を食い、宮川のコルは11:35-11:40。
ここからは、上宮川谷をトラバースしひょうたん池に至る。見上げる4峰南東壁は、東面らしくきのこ雪がつき、なかなか見応えがあるが、開けた上部から雪崩が恐い。降雪直後にはとても通る気がしないルートだ。ひょうたん池へは、上宮川谷の右の尾根を末端から登ることが出来るが、なぜかどの資料でも今回のルートが選ばれている。いつのまにか、こちらのルートが既成事実化し、根拠なく安全と思われたるのだろうが、さっきの下宮川谷のルートミスと共に、なんか考えさせられる。とはいえ、4日という限られた日数の中では、他人の恩恵を預かった始めて、計画が成り立つわけなのだが…。
ひょうたん池に12:40-13:10、今日はここまでの予定だったが、好天に促され、さらに進む。やがて尾根はやせ、雪壁状となる。トレースのステップを頼りにぐんぐん高度を稼ぐが、これが崩れたらと考えるとロープを出した方が良かったかもしれない。最後は夜行の疲れで、バテ気味だったが、爽快な登りであった。
核心のバットレスの直下のラクダのコルに15:20着、ここに設営。すでに3張、先行パーティーがいた。
夕食後、年越しそばを作るが、水を切らず茹で汁に味をつけたため、まずかった。
1/1 (雪のち快晴)
起床すると、「昼まで冬型で雨か雪」の予報通り、雪がしんしんと降っており視界も効かない。6:00に朝食を終え、またシュラフに入る。
6:30頃、先行パーティーが撤収作業をしている様子なので、首を出してみると、雪は止み空が明るくなっている。さらに30分もすると、晴れ間さえのぞいている!!。天気予報は何だったんだ、と思いながら慌てて準備をするが、先行2パーティーに先をこされてしまった。
8:10発。テン場からすぐ、岩を左側から回りこみ、下に岩が見えたルンゼを榎並リードで1ピッチ。この先の核心の凹角で先行パーティーが苦戦しており、順番を待つこととする。2番目の2人パーティーこそ、スムーズに抜けたが、最初の大人数のは、空身で登る者、幾度もテンションを掛けセミになってしまう者などがいて、困ったものである。結局2時間も待たされてしまった。
ただ、完全に空は晴れ上がり、風もほとんどなく、まるで5月のような陽気で、待ってても寒くないのが救いだった。
ようやく太田リードで取り付く。スラブ状の凹角は、高さこそわずか7m程だが、ホールドが乏しくなかなか厳しい。残置のトラロープとスリングにA0し、強引に越える。登山体系には「4級+」とあったが、フリーで登ればそれぐらいあるかもしれない。
この上は、左に回りこむように雪面をつなぐと、ほどなく明神の山頂に辿りついた(12:00-12:10)。前穂が大きく聳え立ち、その先に奥穂・西穂が望まれる。いつもとは違う角度からの展望が新鮮だ。
ここから奥明神沢のコルへは、一端、2峰とのコル寄りに戻り、西側をトラバースして行く。コルの手前は5m程、懸垂した他、わずかの距離だが嫌らしい。コルからはガレ場から西面の雪斜面を絡みながら登るが、ここは問題なく前穂に14:40着。先行パーティーの残した、立派な防風ブロックを拝借した。
ここで悪天に閉じ込められると、日程的にまずいと思ったが、天気図によると明日も晴れそうだ。今日、予報より大幅に早く天気が回復したことといい、新年早々、ラッキーだ。今年はいいことがありそうだ。
1/2 (高曇り)
6:30発。奥穂への吊り尾根は、全体に緊張させられるが、トレースが残っていることもあり、特段ロープを出すような箇所はない。気分のよい稜線歩きに、行程ははかどり、奥穂に8:50。
山頂に出た途端、風が強い。
今まではほとんど無風だったので、東面/西面で、だいぶ様子が違うようだ。最後のピークなので、鹿島槍や立山まで望める好展望を満喫し、9:10に発。
今日中に降りれることがはっきりしたので、スタコラ先を急ぐ。
涸沢岳9:55、F沢のコル10:30-10:40。
西尾根はトレースがばっちり。樹林帯の急下降をアイゼンで行くが、膝が痛くてしんどい。かったるいので、一度アイゼンを外すが、コケまくってしまい着け直す。そんなこんなでも白出沢出合に12:35-12:50、新穂高に14:00に下山。奥穂からわずか5時間、あっという間だった。
「平湯の森」の露天風呂で汗を流し、新宿行きの高速バスで帰途につく。
バスは渋滞にはまり、若干遅れたが、平湯から5700円、5時間弱で新宿まで行けるの、お得だった。
3日連続の好天と、トレースに恵まれ、実働は2日半。学生の頃の長期山行や、他パーティーなど全くあてに出来ない飯豊や越後の山行と、比べるとあまりにあっさりと登れ、若干、違和感を覚える。とはいえ、程よい緊張感を味わいながらの3000mの稜線歩きは、「いいとこ取り」とも言える、楽しい山行ではあった。この時期の槍穂周辺は、トレースを前提に、短い休みで、こうした山行を組める、社会人向けの山域なのであろう。
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