●対象:笠ヶ岳南西支稜〜弓折岳南稜
●期間:2/27〜3/5
●メンバー:上浜、榎並、千原 (慶応大学山岳部)


 ドカチンの山で基礎固めをしながらも、未知の要素を取り入れ、リーダーシップがしごかれる対象として笠の西面が選ばれた。この記録が少ないこの尾根の資料として、慶応理工学部山岳部の部誌のS44年の記録が参考となり、これを元に1965mPに突き上げる支尾根から取り付くこととした(「登山体系」では2203mPに上がる尾根から取り付く)。

2/26
 26日の急行能登は、たまたま早月の法政、文登研の早稲田と一緒で賑やかな出発。


2/27 (快晴)
笠谷ゲート8:45〜取付13:25-50〜1300mTS15:15
 富山で彼らと別れ、猪谷・神岡と乗り換え。新穂高行のバスからは一目見ただけで、今年の雪の少なさを感じる。計画段階で雪崩の心配から末端から取り付くことも考えたが林道は問題なし。取り付き直前のホウガ谷を渡る辺りが少し嫌なくらい。
 ホウガ谷を渡ってすぐの尾根と次の尾根の間の小沢から取り付き、途中で右に上がり1210mPのやや右に出る。快晴の空、ラッセルも楽で気持ちのよい入山日であった。


2/28 (曇のち快晴)
TS5:45〜日屋ケ谷(1965mP)10:35-11:00〜2203mP直下15:40
 つい前の雨の影響なのか、雪が締まっていてこの日もラッセルは楽。予定のテン場、日屋ケ谷までの600m強のアルバイトを半日で終える。ただし、この尾根は複雑に派生しており、下降は厄介と思われ赤布を打っておいた。
 日屋ケ谷から先は小ギャップに懸垂2回(5m、15m)、また2065mP付近はやや痩せていて雪庇も見られ念の為コンテ、進みが鈍る。
 この先天気が崩れる予報なので、木が生えていない2203mPをきらい、やや下ったところを切り崩し張る。


3/1 (雪のちガス)
TS11:05〜竹造(2417mP)先コル15:3015:30

 

日本海を低気圧が抜ける。森林限界下とはいえ、この辺りは木も疎らなので様子を間ってから動く。右側の雪庇を警戒しながら左側をいくが、降ったばかりの雪に嵌まりながらでしんどい。コンテは途中一部。


3/2 (快晴のち雪&ガス)
TS6:50〜11:25笠ケ岳11:45〜笠ケ岳山荘11:55 コンテ:全区間
 
昨日の低気圧が完全に抜け、晴れ渡った暁の空に今迄姿を見せなかった笠ケ岳が高く聳える。西側がすっぱり切れた姿に、この角度からはそう見えないという心の内の優越感を加え、実に格好いい(ちなみにこのときの写真は大きく引き伸ばされ、新歓用に引き伸ばされることとなる)。
 はじめはややズボるが、2500m付近からはクラストしたそう急でない快適な登り。2700m辺りより、やや岩っぽくなるが、ザイルを出すまでもなく小気味良く山頂へ。槍穂は雲の中だが、振り返ると辿ってきた尾根が長く満足する。
 この日は午後からやや天気が崩れ、早めの設営が正解となる。


3/3 (曇のち晴)
TS6:00〜抜戸岳8:55〜fix30〜抜戸岳北尾根2500mTS11:10 
コンテ:全区間
 相変らず槍穂はガスの中。強い風の中クラストした西側の斜面をトラバース気味に進む。結構急で怖いが、千原にとっては富士山の雪訓が生きたであろう。
 2792mPのちょっとしたギャップのためfix30。2667mPから夏道は大きく秩父平へ急降下するが、雪庇に阻まれるために、想定どおり北側の尾根から大きく回り込むこととする。
 北尾根の2600m辺りから地形的なものか、風が急に弱まる。雪庇が切れて東に下りれそうな2500mまで進むが、気温の高まる時間なので、今日はここまでとなる。設営の終わる頃には、朝の強風が嘘のような、ポカポカ陽気の青空になる。


3/4 (雪のち曇)
TS6:00〜懸垂20〜7:25秩父平7:35〜9:30弓折岳9:45〜懸垂15,20〜弓折岳南稜1874mTS13:35 
コンテ:鏡平上まで
 朝はパラパラと雪が舞う。雪庇の切れ間から懸垂20m、そこから沢筋まで100mほど下るが、あまり気持ち良いものではない。谷のほぼ真ん中にある小リッジに乗り一安心、登り返し秩父平。
 なだらかな大ノマ岳を越え、やや急な登りで弓折岳。この頃には晴れ間も覗き、槍穂が雲間に荘厳な姿を見せる。
 弓折南稜は、上部の雪壁でのクライムダウン、鏡平2303mP先の急降下での懸垂2ピッチと侮れない。
 その先も腐り出した雪が嫌なのでこの日も早めの設営。8日の予備日を1日も使わなかったので行動食は豊富に余っており、これをつまみながら紅茶会を楽しむ。


3/5 (晴)
TS6:15〜弓折南稜取付6:15〜新穂高温泉8:25
 昨日のアイゼン団子の苦労から一変し、クラストした朝の斜面を駆け下る。林道に出てからも、雪が腐る前に・・・とアイゼンで新穂高温泉へと急ぎ、8時台の下山となった。
 そしてこの後、なぜか?「時間も早いしスキーをしよう」との話となり、我々は西穂のロープウェーの下のスキー場に出かけた。臭い靴下をレンタルブーツに突っ込み、オーバー手もスパッツも付けたままで颯爽(?)とすべったのは言うまでもない。
 富山に出ると、帰りも文登研組と一緒の能登となり、改めてこの山が予想外の短さで終わってしまったことを実感する。どの行動日も決して無風快晴の万全の天候というわけでもなく、またアイゼンの稜線歩行などの収穫もあったのだ。しかし人のいない山をじっくり取り組み、年度の基礎固めを測るという目的で出かけただけに、どこか物足りなさが残ることとなった。