| ●対象:飯豊/ダイグラ尾根〜飯豊本山〜松の木尾根下降 ●期間:3/17〜3/27 ●メンバー:上浜、榎並、千原 (慶応大学山岳部) 3/17 (曇のち雪) 泡の湯温泉9:50〜10:55取付11:15〜660mP13:00〜fix35〜ひとはねの峰(770mP)15:40 コンテ:660mP先から 「ムーンライトえちご」で坂町、米坂線で小国、タクシーで泡の湯温泉。今回は、昨年敗退した玉川沿いの林道を避けるため、ここから2日間かけて前山を越えるのだ。 岩魚沢沿いの林道を1時間歩き、林道が左岸から右岸に移る場所から取り付く。はっきりとした尾根を楽なラッセルで660mPに上がる。ここからは豪雪地帯の低山らしく、東側にクレバスが入り、崩れたブロックが転がる稜線となる。 ひとはねの峰の下で1ピッチ。たちはだかる雪壁を、右の岩の出たルンゼから回り込み乗っ越す。雪の付き方にも因るだろうが、かなりいやらしかった。登りきったひとはねの峰の狭いピークになんとか設営。 3/18 (快晴) TS5:40〜fix20〜930mJP8:30-50〜10:30温身平10:50〜fix40,35〜13:30吊橋13:50〜fix40 〜ダイグラ尾根取付14:20 コンテ:温身平上まで 東側のクレバスを気にしながら、ときに薮と格闘しながら細い尾根を進む。1箇所、岩の出たところで一応張った。 930mJPから冬越渡(652mコル)、さらに温身平450mへ(この下りは尾根をなしていないが、大木が茂っており雪崩は心配ない)。それまでの登り分をパーにする下りは、さすがに恨めしい。が、天気がよいだけに、温身平は”飯豊の内院”という感じで、気持ち良い。 玉川を吊橋で渡り(吊橋手前の小屋に人がおり、その人達は吊橋を架けにここまで入ったというので、冬は外されている可能性あり)、しばらく川沿いをなだらかに進む。 ダイグラ取付の吊橋の手前で、2ピッチ雪壁のトラバース。落ちると川にドボンとなるので、ここは欲しい。桧山沢を渡る吊橋は橋げたが外されパイプだけになっており、またパイプに上がるのもしんどそう。50m程上流のデブリを利用し渡り、対岸で1ピッチ張り、取付の台地に設営。 3/19 (晴) TS5:30〜池の平(926m)8:45〜休場の峰fix10,懸垂20,fix25,懸垂20〜休場の峰III・IV峰のコル15:20 急な斜面に強引に上がり尾根に乗る。締まった雪でアイゼンで楽に高度を稼ぎ、4つピークを連ねる休場の峰のI峰(手前からI峰とする、勝手に命名)まで進む。このときには前回と同じくこの山も同じくこの山も短く終わってしまうのではないかとさえ思った。しかしここからが悪かった。疎らな木の茂る斜面にでかい雪庇が被さり、尾根は”鋸尾根”の別称通りボコボコと称ピークを連ねる。さらに雪質も、クラストしたバーンの上に20〜30cmのふわふわ雪が乗った状態でいやらしい。これに丸々2日間悩まされることとなる。また、今回は本来ならミッテルでfix通過するだけの千原が、ビレイのために末端に付け代えて・・・とえらく時間がかかる。II峰の下から張り始めて、4ピッチでIII・IVのコルで時間切れ、急な斜面を切り崩してテン場を作る。 3/20 (ガスのち雪) TS5:40〜休場の峰fix 40,20〜1340m岩峰fix35,40,40,30〜1340m岩峰先コル10:25〜千本峰(1550mP)登りfix25〜千本峰fix30,40,40,20〜下降点TS15:20 コンテ:ほぼ全区間 IV峰の下りは西側が切れているため、東側の雪庇の中のクレバスを下降。 続く1340m岩峰は山頂直下の雪面を1ピッチ斜上し、西側の木の切れ間のバンドに乗ってから1ピッチでピークに立つ。ここからコルまで大分急な雪壁で2ピッチ(まぁ下の1ピッチ30mは張らなくてもいい)。 朝のうちはガスッていたが、この辺りから晴れ上がる。せっかくの連続した晴天なのだが、先に見える宝珠山、飯豊本山はいっこうに近づかない。こういう時に、一貫したザイル判断をするのは難しい。 何度か僕がコンテのまま行こうとして、後ろから「張る」の指示を受ける。千本峰の登りの雪壁で1ピッチ、千本峰の細長いピークで雪庇を酒ながらトラバースするのに4ピッチ。 この日も斜面の途中でいい時間になり、切り崩して張る。 3/21 (快晴) TS5:55〜千本峰下降〜懸垂20,20〜宝珠山取付雪壁fix40,40,40〜宝珠山14:00 コンテ:全区間 千本峰の下りは所々岩が出ているため懸垂2ピッチ。これを下ると、尾根もこれまでほどぼこぼこしなくなり、少しは進む。 1499m峰はうまく西側を回り込めたが、それなりに急なので、ルート取り次第であろう。 ここから宝珠山への350mの登りとなる。コルからすぐの雪壁で1ピッチ、1600m付近の細くなった部分を巻き気味に登るのに2ピッチ。この2ピッチも薮を拾いながらなのだが、赤旗15本もぶら下げている上浜にとっては、それが引っ掛かりまくり大変な事になる。まして、赤旗を下げての懸垂で薮に引っ掛かる場面では発狂したに違いない。折れてしまった赤旗ともどもご愁傷さまです。 宝珠山直下では、早めに西側のリッジに乗り、最後fix15でピークに立つ。ここまで上がると本峰と主稜線のたおやかな連なりが手に取るように見える。”鋸尾根”の苦労もむくわれると言うものだ。 3/22 (雪・ガス) TS6:30〜門状岩峰fix20〜12:00飯豊本山12:20〜頂上小屋12:45 コンテ:全区間 雪・ガスだが風は弱く、そう寒くない。また、午後から天候の回復が望めるので出発。 出てすぐの門状岩峰は右の岩峰より直上。ここから御前坂の取付までは、ガスの中で雪庇を警戒しながら、しかし余り巻き過ぎると新雪雪崩を誘発しそうで、難しい。 御前坂はさすがに雪が飛んでいる。相変らずの天気だが、かえって雑念が払われ、1歩1歩登ることに集中できてよい。御前坂という地名も、なんか良いではないか?僕は神様なぞ信じない人間だが、昔の飯豊山神社の山岳信仰の人々の気持ちが何となく分かる気がする。 12:00、風雪の飯豊本山に立ち、頂上小屋の裏に張る。 3/23 (雪のち快晴) 停滞 昨日から天気は悪いまま。9時の天気図で日本海にまた低気圧が発生。昼過ぎから風が弱まり、14時には快晴となるが、いわゆる疑似好天であろう。もどかしいが仕方ない。 この日は、皆で海戦ゲームをやる。碁盤のマス目の戦艦・駆逐艦などの駒を動かし、相手の位置を探り撃沈するというなつかしのヤツである。 3/24 (吹雪) 停滞 冬型。山行8日目。そろそろ腹が減る。数少ない個食を賭け、今日も海戦ゲーム。そのうち、天気図用紙のマス目を使おうという話になり、太平洋・日本海で縦横無尽に駒を動かし、大いに盛り上がった。 3/25 (晴) TS7:00〜天候待ち7:30-10:00〜引き返しTS10:50 コンテ:全区間 晴れてはいるが猛烈な風。御前坂(南北2箇所ある)の下降点の岩陰でテントを被り風が弱まるのを待つが、一向に弱まらずかえって強くなる。引き返すときには、地吹雪でコンテのザイルは中を舞い、10m後の千原の姿も見えない状況。さらに眼鏡に雪が吹き込み、散々。なんとかルートを確かめながら、元のテン場の暴風ブロックへ逃げ帰った。 3/26 (快晴のち曇) TS6:10〜御秘所fix35〜9:30種蒔山9:50〜1670mP〜懸垂15〜12:10三国岳12:20〜取付徒渉fix20〜取付台地16:40 コンテ:草履塚〜種蒔山、取付徒渉点から先を除く全区間 風も昨日ほどはなく、やっと動ける。 快調に御前坂を下り、御秘所の岩場で張り、登り返し草履塚。この頃には風がなくなり、種蒔山までは平原状の尾根を稜線漫歩。ここから、三国岳までの稜線も見た目はいやに見えたが、山スキーヤーのトレールにも助けられて快調。ただ途中1670mPは雪庇がT字型に張りだしており、ザイルを張っての偵察の後、懸垂で雪庇の下に降りる。 三国岳で主稜線と別れるが、ここから見る大日岳と南に連なる水晶尾根のすっきりした雪稜は、感動的に格好良い。いやが応にも冬の大日岳蒜場尾根への意欲が湧くというものだ。 松の木尾根は途中1270mPまでは広く緩い尾根だが、ここからは細く、また雪が少なくなり、薮の上の不安定に雪がついた状態で気を使う。末端まで尾根を辿って、そこから幅5m程の小沢を飛び石伝いに徒渉、少し行った台地で張る。 3日間閉じ込められた稜線から、あと半日の安全圏まで良く動いた1日であった。ささやかながら紅茶会を催し、満足して寝る。 3/27 (雨) TS5:30〜6:40川入集落6:55〜車に拾われ下山7:35 最終日の飯豊は、ちょうど昨年とおなじような雨だった。しかし今年の雨は気持ち良い。川入から除雪された道を10km先の一の木のバス停を目指して歩いていると、後ろからクラクションが鳴る。トラックの荷台に上がり、この山は終わった。
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