AGC 探索例会報告

AGC VOL98 

相模野基線を訪ねて  

2019年3月2日

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AGCメンバーは必ず最初に訪ねることにしている相模野基線網の基線訪問。

日時  2019年3月2日(土)
集合  東急田園都市線 すずかけ台駅 9時30分
参加者 北野、渡辺、片野、半田、堀内、市川、鎌田(記録)

 相模野基線は1882年(明治15年)から1911年(明治44年)の間に全国規模の測量事業の為に設置された14の基線のうちの最古のものであり、南端点の一等三角点「座間村」から北端点の一等三角点「下溝村」までの全長5209.9697mの基線である。この基線を基点として1913年(大正2年)日本全国の三角点網が作られた。さらに1925年(大正14年)全国を網羅する縮尺5万分の1の地形図が完成した。およそ140年前に設置され日本の黎明期の基礎となる重要な役目を果たしてきた。また現在でも長さを精密に測定することにより地殻変動をキャッチし地震を予知する重要な役目を担っている。2010年(平成22年)公益社団法人土木学会により近代の重要な選奨土木遺産に認定されている。

 今回はこの南北両端点とその中間点、および三角点網の出発点となった一等三角点「長津田村」を訪ねた。すずかけ台駅を9時30分に出発して東急田園都市線、国道246号を越え、雑木林のなだらかな坂道を20分間登り東京工業大学の裏手の見晴らしの良い高尾山頂(横浜市緑区長津田町)に到着した。梅の花が咲き始め遠くに丹沢山系が眺められ、頂上には飯綱神社が祀られそのすぐ脇に一等三角点「長津田村」が有った。区内では最も標高が高く一等三角点として見通しの良い最適の場所と思われた。GPSによる測定値は北緯35度30分42.26秒,東経139度29分00.85秒、標高104mであった。
飯綱神社 三角点・長津田村

 すずかけ台駅に戻り東急田園都市線終点の中央林間駅で小田急江ノ島線に乗り換え、南林間駅から基線南端点を目指した。道路はほぼ一直線で、進むにつれ一条通り、二条通り、三条通り・・・十一条通りと次々に交差し、碁盤の目のようによく整備された市街地を歩いた。この道路は2010年にノーベル化学賞を受賞された根岸英一氏が学生時代までをここ大和市南林間で過ごされたことにちなみ「やまと根岸通り」と名付けられている。20分程で通り左側の医院の庭の中に一等三角点「座間村」が有った(神奈川県座間市ひばりが丘1)。道路から私有地のフェンス越しに三角点とその標識が見られたが、場所的には少し見つけ難い場所に有った。平成23年10月に座間市の指定重要文化財に指定されている。
南端点・座間村

 GPSによる測定値は北緯35度29分24.71秒、東経139度26分03.09秒、標高85mであった。
10分間見学後、もと来た通りを90度右方向に曲がり基線中間点を目指した。座間市の工場地帯、市街地を通り、12時00分相模が丘4丁目の「桜百華の道」にある「さくらテラス」で昼食をとった。道の左右には約60種類もの桜の若木が植えられており、中には4月と10月の2度開花する「10月桜」と言う珍しい種類もあった。河津桜が咲き始め春の気配を感じた。昼食後さらに桜並木を20分歩いて小田急小田原線そばの基線中間点に着いた(神奈川県座間市相模が丘2)。この三角点は人や自動車が行き来する市道相模が丘46号のマンホールの中に収まっていた。マンホールの蓋には建設省国土地理院の標示が有るものの、重い鉄板は手で簡単に開けられるものではなく、持参したバールを使って抉じ開けた。中は泥に覆われており、水で洗い流して表示を確認した。この中間点は1902年(明治35年)に設置された四等三角点で現在すでに存在しない第1中間点、第2中間点が1直線上にあるかどうかをチェックするのに用いられた中間点であった。現在は座間市の指定重要文化財になっている。GPSによる測定値は北緯35度30分64.8秒、東経139度25分22.0秒、標高102mであった。

中間点

 10分間見学した後最終目的地の基線北端点を目指した。小田急小田原線の小田急相模原駅まで10分間歩きJR相模原駅行きのバスで麻溝台中学入口下車。道路を挟んで徒歩3分、麻溝台中学のすぐ横に一等三角点「下溝村」が有った(神奈川県相模原市南区麻溝台4)。
10mほど奥まっているが案内板に沿って行けばすぐに見つかる位置に有った。2001年には(平成13年)相模原市指定史跡になっている。GPSによる測定値は北緯35度31分52.56秒、東経139度24分22.92秒、標高127mであった。

北端点 北端点・下溝村

 相模野基線の南北両端点は良く整備され、標識も整っていたが、その割には目立たない場所にひっそりと佇んでいた。

 小田急相模大野駅行きのバスに乗り終点で下車。駅前の店で反省会をして15時30分に解散した。
                                 以上

報告(鎌田 記)

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