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 山と林道とは、切っても切れぬ関係にある。林道(特に車道)を開設し森林を伐採する営林事業は、自然破壊の元凶のように言われている。では林道とはどのような性格を持ち、いかなる歴史があるのだろうか。
 初期の林道にまで遡ると、林業と登山とが同居していた時代が垣間見えてくる。 当時の林道は主として牛馬道であったが、正式には「歩道」と呼ばれる幅員1.8米未満の営林用道路を含めて林道と呼び慣わされていたので、割合としてはむしろ「歩道」の林道の方が大きかった。
 本書ではその歩道のことを、古い慣例に倣い「林道」と呼ぶものとする。
 森林管理の目的で設置された当初の林道は、高度成長期に次々と車道に置き換えられ、それを利用して夥しい森林が伐採され、その犠牲の上に日本は現在の繁栄を手に入れた。
 山を楽しむべき登山者もまた、細く危険な山深い林道を捨て、自家用車で山に入り、徒歩であっても車道を歩いて、楽に安全に短時間で登山を行うようになった。
 高度に発達した現代社会で省力化・効率化に余念がないのは、林道も登山も同じことだ。森林管理には航空写真やGPSが使用されるようになった。役目を終えた古林道は、数十年を経て山肌に微かな痕跡を残すだけとなり、その存在すら知る人が稀になった。
 かつて営林事業を通じて日本経済の一翼を担い。登山者に大きな便宜を図った古林道は、今どうなっているのだろうか。−−−

序より

冨永 滋

奥秩父・奥多摩の古林道

2016年9月19日 初版発行
デザインエッグ社

A5版 514頁
https://www.amazon.co.jp/dp/486543741x/ref=rdr_ext_tmb


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